【98冊目】和田秀樹「大人のための文章法」
- 作者: 和田秀樹
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2003/11
- メディア: 新書
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著者の本業は精神科医だが、私にとっては、和田秀樹といえば受験指導家としてのイメージが強い。実際、ごま書房から出ていた勉強法の本にはいろいろとお世話になった。また、ベストセラーになった近著「大人のための勉強法」は、受験指導の経験と専門分野である認知心理学の知見を融合させたものである。
そして、本書もまた著者の「経験」に基づいて書かれたものだ。その「経験」とは、年間50冊を超える執筆量である。そして、著者の書く本は非常に分かりやすい。文章が非常にシンプルでロジカルなので、すっと頭に入ってくるのである。本書は、著者はそのあたりの種明かしをしてくれているありがたい本である。
本書には「主語と述語」や、いわゆる「てにをは」の使い方など、細かい文章作成法が載っているわけではない。著者が重要視しているのは、何をどう盛り込むかというコンテンツの問題である。著者は、良い文章を書くに当たって何より重要なのは、内容と構成(コンテ)であるとする。そして、著者自身の経験やさまざまな専門家の知見から、盛り込むべき内容の決め方や構成の作り方を具体的に示してくれている。
いうまでもなく、行政職員にとって、文章作成能力の重要性はきわめて高い。しかし、まともな文章が書ける職員というのは、実は驚くほど少ない(この「読書ノート」からお分かりのとおり、私も人のことは言えないが)。私はこれまで、その原因は基本的な日本語運用能力、語彙や文法の使い方がうまくないせいだと思っていた。しかし、ひょっとすると問題は、そもそも盛り込むべき内容について分かっていない、自分の言葉で順序立てて説明できないというところにあるのかもしれない。
ちなみに本書では、文章力向上の訓練法のひとつとして「本を読んだらその内容を1枚の紙にまとめる」というやり方を紹介している。これって、この読書ノートのことじゃないですか、って思ったけど、「内容のまとめ」じゃなくてただの感想だから違うか。