自治体職員の読書ノート

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【2191冊目】田山輝明『成年後見読本』

 

成年後見読本 第2版

成年後見読本 第2版

 

 

成年後見制度の概要をわかりやすくまとめた一冊。単なる制度説明にとどまらず、改正前民法との比較、諸外国の制度の紹介、さらには「より良い成年後見制度」の提案まで書かれている。

そもそも戦前の成年後見制度は、「家」の財産保護が主目的だった。家長が適切に財産を管理できなくなった時に、代わりに財産を維持するための制度だったのだ。これを著者は「自益後見人」という。

だが、現在の後見制度は本来「他益後見人」である。つまり、家のため、家族のためではなく、あくまで本人の権利を守り、財産を維持するための制度なのだ。

とはいえ、成年後見制度とは本来、本人の能力を剥奪すること。それだけに慎重にならざるを得ないはずなのだが、現在の制度では剥奪の度合いの高い後見類型が多い。著者はこれが保佐類型中心になるよう制度を改め(保佐類型のほうが制限の度合いが低く、本人のできることが多い)、その分、後見類型の場合は医療同意も含めた同意権を明確に後見人につけておくべきだという。

このテーマ、福祉関係の仕事をしている人以外にはあまり関係がないように思えるかもしれない。だが、この超高齢社会にあって、成年後見制度を知っているか知らないかの違いは大きい(その割にちゃんと知っている人は少ない)。パンフレットのようなものもあるので、一度は目を通しておくとよい。