自治体職員の読書ノート

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【2179冊目】山之内靖『マックス・ヴェーバー入門』

ヴェーバーキリスト教文化が内包する合理化の普遍性を一貫して強調したのです。そして、その普遍性にこそ恐るべき運命的な力が宿っていること、ここに警告を発していたのです(山之内靖『マックス・ヴェーバー入門』)p.220

 

 

マックス・ヴェーバー入門 (岩波新書)

マックス・ヴェーバー入門 (岩波新書)

 

 


タイトルに「入門」とあるが、まったくの知識ゼロから入るのはキビしい。むしろ社会学の入門書などで通り一遍のヴェーバー理解を植え付けられた人が、その「洗脳」を解くのによさそうな一冊だ。

問題は、西洋近代社会の合理性が世界を席巻したのはなぜか、ということだ。確かに西洋の合理性には普遍的な「力」がある。だが、それは決して、西洋文明がすぐれていることを意味しない。むしろヴェーバーが指摘したのは、西洋合理主義が普遍的であるがゆえの危険性だった。

以前、ヴェーバーの『官僚制』を読んだが、あれもそういえば官僚制の合理性を強調した一冊だった。そのため、官僚制に関するテキストなどでは、ヴェーバーを「官僚制の合理性を評価した」人物として書かれており、それに対して他の社会学者の官僚制批判がぶつけられていることが多い。

だが、本書の主張に沿って考えれば、ヴェーバーは官僚制の合理性を単に礼讃したのではない、ということになる。むしろヴェーバーは、官僚制がすぐれて合理的であることを認めたうえで、「それゆえに危険である」ことを指摘したのだ。それが冒頭の引用にある「恐るべき運命的な力」ということになる。

そういう文脈で読めば、むしろ官僚制批判としては、凡百の学者よりも、一見礼讃しているように見えるヴェーバーの批判のほうが本質的でクリティカルなものなのかもしれない。西洋の優越性と見える部分こそ、実はもっとも深刻な西洋の暗部なのかもしれないのだ。

 

官僚制

官僚制