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自治体職員の読書ノート

仕事は福祉系。読書は雑食性。業務連絡はnsa59871atmarkexcite.co.jpへどうぞ。

【1321冊目】谷原誠『人を動かす質問力』

人を動かす質問力 (角川oneテーマ21 C 171)

人を動かす質問力 (角川oneテーマ21 C 171)

毎年この時期になると思うのだが、質問する力って、本当に大切だ。

この時期というのは、多くの人が職場や学校などを変わり、まったく新しい環境で仕事や生活を始める新年度ということだ。特にわれわれ地方公務員は、「異動」がほとんど「転職」にひとしいといえるほど、部署が変わると仕事内容がガラリと変わる。前の職場ではベテランだの生き字引だのと言われていても、4月からはピカピカの一年生。初心にかえって新たな分野のルールを必死に覚えなければならない。

しかしながら、身に覚えがある方は多いと思うのだが、異動したばかりの頃って、実は「質問」がなかなかできない。それは別にプライドが邪魔するとかそういうことじゃなく、単に「何を聞いていいのか分からない」からだ。知らないことばかりだと、逆に質問ってできないものなのだ。逆に言うと、質問ができるということは、ある程度周りのことが「分かり始めたから」ということになる。

少し分析的に考えてみると、これは仕事なら仕事を取り巻くルールや仕組みが「システム」として見えてきたということでもある。これは学問でも同じこと。例えば素人が知識ゼロの段階から「相対性理論」とか「ヘーゲル哲学」の講義をいきなり聞いてもたぶんチンプンカンプンだ。しかし自分なりにいろんな入門書を読んだり、自分なりにノートをとって復習していると、だんだん頭の中でいろんな知識が結び付き、構造化されてくる。しかし、その構造にはどうもハッキリしない部分がある。あるいは、思っていた構造と出てくる説明がムジュンしている。そんな時、初めてあなたは「質問」ができるのだ。

つまり、質問できるかどうかということは、理解度を測るまたとないメルクマールであるということになる。質問に答えられるかどうか、というのももちろん大事だが、まずは質問。特に新人諸君には、問いを立てる力こそが必要なのである。

したがって、やや応用的なことを言うと、ある分野についてマスターしたかったら、問題集を自作するとよい。例えば昇進試験で地方自治法を学ぶ必要があるなら、条文や参考書をもとに自分で5択の問題をつくるのだ。あるいは仕事の中身をきちんと理解したかったら、QA集を作るのが実は早道だ。大学入試なんて、問題に答えさせるのではなく、問題を作るという問題を出せばよいのに、といつも思う。

われわれは子供のころから、問題を与えられ、答えを出すのが自分の役割だと思いすぎてきた。しかし、肝心なのは問題のほう、Q&AのQのほうなのだ。特に管理職は、Qを出すのが仕事といってもよいくらい。面接試験だって、質問する側のほうが、答える側よりずっと大変で、難しいものなのだ。

……なんてことがこの本に書いてあるかというと、残念ながらまったく書いていないのであしからず。これは別にこの本がイカンということではなくて、単に書名を見たときに私の期待した方向がだいぶ的外れだったというだけのことだ。こういう時も、本来なら本の内容自体にしっかり触れるべきなのだろうが、質問力という言葉から自分の考えがバーッと広がってしまい、そっちを書きたくなってしまったので、失礼ながら「読書ノート」の中でも「本から連想した内容ノート」に近いものになってしまった。まあ、たまにはこういうこともある、ということで。いやいや、悪い本じゃないですよ、これも。