自治体職員の読書ノート

読むために書くのか、書くために読むのか。

【90冊目】西尾勝「行政の活動」

行政の活動

行政の活動

放送大学向けのテキストを基にした、行政活動全般についてのコンパクトな概説書。

西尾氏の類似の著作としては他に「行政学」があるが、こちらは行政学全般について、いわば総論的に説明したものである。それに対して、本書のメインは真ん中あたりの数章を割いて論じた「各論」部分であろう。そこでは、窓口業務から警察活動、公害防止活動、生活保護、廃棄物行政など、特徴的な行政活動分野を幅広く扱っている。

行政とひとことで言っても、その活動分野が非常に多岐にわたっていることはもちろん、分野によって求められる要素が大きく異なるのであって、その意味で行政一般を語ることは、場合によっては何も語っていないに等しいのかもしれない。むろん通則的な部分、全体に通底する部分は少なくないのだが、それだけではきわめて不十分であることが分かる。われわれが役所の内部で異動するたびに、それぞれの部署における「流儀」の違いに戸惑うのも、単なる組織上のカルチャーの違いだけでなく、仕事のやり方自体にいろいろな発想があるためなのだろう。

各論部分だけではなく、いわゆる総論部分も短いながら非常に充実しており、国、地方いずれにも共通するような大事なポイントを的確に指摘している。行政学の入門書としてうってつけの、非常に完成度の高いテキストである。