自治体職員の読書ノート

自治体職員です。仕事の関係上、福祉系が多めです。読書は全方位がモットー。

【34冊目】桜井章一・鍵山秀三郎「人生を掃除する人しない人」

裏麻雀の世界で20年間無敗のまま引退した桜井氏と、株式会社イエローハットの相談役である鍵山氏の著書・・・・・・というと、いったいどんな内容なのか多くの方は想像しかねるだろうが、いまどきの病んだ世の中にはまことに珍しいまっとうな言葉に満ちた良書である。

対談ではなく、おふたりの文章がほぼ交互に登場する。別個の文章のはずなのだが、随所に同じような言葉、同じような考え方がみられる。まさしく内容が呼応しているのである。そして、そのメッセージは(要約してしまうと味も素っ気もないが)いかにして人としてまっとうに生きるか、正しい感覚、感性をもち続けるか、ということをさまざまな方向から問いかけ、訴えかけるものとなっている。

実は個人的な話、私は桜井章一氏の大ファンであり、桜井氏は私にとって、たった1冊の本を通じて、人生の正しい方向性を的確に指し示してくださった大恩人である。氏の「雀鬼流」という本と出会わなければ今の私はなく(今の自分とてたいそうなものではないが)、今もって私の尊敬する人をひとりあげよと言われれば、躊躇なく桜井氏の名前を挙げる。会ったこともないのだが・・・・・・(お会いできればと思って氏の経営する雀荘へと何度か足を運んだがかなわなかった。もっとも、著作を通じての言葉だけで十分尊敬の気持ちを持てる方だし、お会いすること自体おこがましいのでは、という気持ちもある)。なお、氏の主宰する「雀鬼会」のホームページをご案内させていただくので、興味をお持ちの方は一度ご覧になるとよいだろう。 http://www.jankiryu.com/

また、氏を通じて知った鍵山相談役のすばらしさもまた他に類例を探すことが難しい。そのことは、本書をお読みいただければ一目瞭然であろう。とにかく、政治経済にまみれ、嘘と病理に満ちた現代社会にあって人としてまっとうに生きたいと願うすべての方に、無条件でおすすめできる一冊である。

長くなったが最後に、今回はもう一冊本をご紹介する。本書や他の桜井氏の著作を読まれて感ずることのあった方には、ぜひ手にとっていただきたい、現代社会という泥濘に咲く美しい花のような名著である(見かけはちょっととっつきづらいが・・・・・・)。

JANKI-RYU 雀鬼流

JANKI-RYU 雀鬼流