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自治体職員の読書ノート

仕事は福祉系。読書は雑食性。業務連絡はnsa59871atmarkexcite.co.jpへどうぞ。

【6冊目】田村明「まちづくりの実践」

まちづくりの実践 (岩波新書)

まちづくりの実践 (岩波新書)

いわゆる「まちづくり」について、実例を中心に考察している本。 

とにかく豊富かつ多様な具体例が挙げられているが、その地方独自のまちづくりに取り組み、一定の成功をおさめている地域に共通しているのは、どうやら独自のまちづくりをする「必要性」あるいは現状への「危機感」を敏感に感じ取り、その地域への「愛着」から行動を起こす「キーマン」の存在のようである。ほとんどのケースでは、キーマンとなっているのは一市民、あるいは自治体の一職員であり、職員の場合も組織の一員としてというより、むしろ組織に逆らうような形での運動となっているケースが多い。 

また、成功例に共通しているのは、その地域の特性を活かしつつ、自由な発想によるアレンジメントが加えられていることである。地域活性化と称してお仕着せのテーマパークの建設や木に竹を接いだようなイベントを行う自治体が多いが、安易な発想や単なる他団体の企画の輸入にとどまる事業はほとんど成功していない。地域をよく知ることと、自由な創意工夫を加えること。この両者が両立していないと、なかなか「まちづくり」はうまくいかないようである。 

結局、「まちづくり」のよしあしは、人の「感度」のよしあしに左右されるのかもしれない。このままではいけないという発案者の危機感という「感度」、地域の良い要素を見つけて伸ばす「感度」、その動きを支えるべき周囲の住民や自治体、国等の担当者の、発案者の良い動きを見つけ、その良さに気づく「感度」。われわれ自治体職員に求められているのは、そういった「感度」を日々の生活や仕事の中で磨くことではないだろうか。