狩野博幸『もっと知りたい河鍋暁斎』
「少なくとも、江戸から明治を生きた画家のなかで、暁斎ほど筆の力を持った者はひとりもいない」(狩野博幸『もっと知りたい河鍋暁斎』p.88)
もっと知りたい河鍋暁斎―生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)
- 作者: 狩野博幸
- 出版社/メーカー: 東京美術
- 発売日: 2013/04/25
- メディア: 単行本
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月曜日、久々に休みが取れたので(と言っても日曜出勤の代休だが)、渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムで開催中の「河鍋暁斎展」に行ってきた。
上野のティツィアーノ展とどちらにしようか迷ったのだが、暁斎の魅力には勝てなかった。開催直後なので混み具合が心配だったが、平日ということもあって、わりとゆったり鑑賞できた(むしろテレビやネットで取り上げられて、これから来場者数が増えるんじゃなかろうか。上野の若冲展の悪夢を思い出す)。
で、内容なのだが、とっても良かった。また行っても良いと思えるくらい。いやホント。
しょっぱな、鴉画がずらりと並んでいるのにまず驚いたが、同じような構図でも鴉の表情や細かい部分がちょっとずつ違っていて、どんなに観ていても飽きないのがさらに驚き。ユーモラスな動物画、おどろおどろしい幽霊画、めったに見られない暁斎の春画までちゃんと展示してあって、展示点数も多からず少なからず。メリハリの利いた展示方法にも好感が持てる。
暁斎の絵は、なんといっても表情が素晴らしい。生きているよう、という表現は月並みだが、本当に、動物でも妖怪でも、顔を見ているうちにどんな性格のヤツなのかが想像できるのだ。身体の動きも含めて、擬人化の極致なのである。連想したのは、宮崎駿の映画(特に『千と千尋の神隠し』に出てくる神様たち)と、モーリス・センダックの絵本『かいじゅうたちのいるところ』。まあ、つまりはああいう感じなのだ。ただし、描かれたのは宮崎駿やセンダックよりずっと前、幕末から明治にかけての頃なのだけれど。
- 作者: モーリス・センダック,じんぐうてるお,Maurice Sendak
- 出版社/メーカー: 冨山房
- 発売日: 1975/12/05
- メディア: ハードカバー
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特に惹かれたのが妖怪たちのユーモラスな行進を描いた巨大な「百鬼夜行図屏風」。実はワタクシ、この絵を後から見たいというだけの理由で、めったに買わない図録を買ってしまったのだ。化け物たちの豊かな表情がなんとも魅力的で、忘れがたいのである。さらにミュージアムショップでこの「百鬼夜行図屏風」がデザインされたTシャツが売っていたのだが、こちらは色がイマイチで断念。黒かネイビー、ダークブラウンだったら買っていた。
(これは全体のごく一部)
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