【333冊目】兼子仁「地方公務員法」
- 作者: 兼子仁
- 出版社/メーカー: 北樹出版
- 発売日: 2006/06
- メディア: 単行本
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北樹出版の「法務研修・学習テキスト」の一冊。とはいえ、オーソドックスなテキストにありがちな無味無臭性とは縁遠く、むしろ著者の「クセ」のようなものが全編に横溢している。
内容は地方公務員法に関する基礎的な知識や論点を網羅したもので、ポイントとなる部分では重要な判例や著者自身の見解が丁寧に示されている。旧自治省系の方が書いたテキストとは違ってあまりおとなしくないが、それは学者先生ならではの味というべきだろう。ただ、文章が妙に読みにくい。意味が通らないわけではないのだが、読んでいて目が上滑りしてしまい、ロジックに入っていけない部分が多かった。読み方が悪いのだろうか。書き方としては決して丁寧とはいえず、むしろ粗雑に書き飛ばしているような印象を受けた。
ところで、例のふじみ野市プール事故の判決があった。執行猶予付の禁固判決である。
プール事故 元市教委課長ら有罪 さいたま地裁判決 「業者任せ、無責任」(産経新聞)
私自身、小さい子供をもつ身であり、ご両親の悲しみは想像に余りある。だが、同時に行政に身を置くものとしては、いわば行政の「担当者」である市職員(体育課長と係長)個人へのこの判決はショックだった。公務員にとって禁固刑は、執行猶予であっても失職事由である。定年退職した課長氏はともかく、この47歳の係長氏の今後をつい思ってしまう。細かい事実認定の内容が分からないので無責任なこともいえないが、自分がこのポストにいたら責任を果たすことができたかと問われれば、自信がない。
こちらは毎日新聞。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080527-00000043-mai-soci
高見被告は事故後、自殺を考えるほど追い込まれたという。河原被告は、全国からの抗議電話を受けるうち突発性難聴で入院したことがあった。
公判の被告人質問で高見被告らは「引き継ぎがなかった」「危険性の認識がなかった」と繰り返し、うなだれた。
まったく、他人事ではない。行政というのは怖い、重い仕事だと、あらためて感じた。