自治体職員の読書ノート

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【2177冊目】阿部謹也『自分のなかに歴史をよむ』

「これまでの歴史の書物では、事件の流れを追えば、一応歴史は理解されたと考えられていたように思われます。けれども私はただ事件の流れを追うだけでなく、理解し、解りたいと考えているのです。解るということは自分の奥底で納得するということですから、最終的には歴史の諸事象の奥底にあり、自分の内面と呼応する関係、あるいはその変化を発見したときに、理解できたことになるのです」(阿部謹也『自分のなかに歴史をよむ』(ちくま文庫 2007) p.131)

 

 

自分のなかに歴史をよむ (ちくま文庫)

自分のなかに歴史をよむ (ちくま文庫)

 

 
この本のタイトルは「自分のなかに歴史をよむ」。歴史を自分の外側にあるものではなく、自分と呼応しているものだと考える。しかも「歴史のなかの自分」ではなく「自分のなかの歴史」というのが、キモだ。

歴史に親しみたければ、いきなり教科書を読むのではなく、まずは「自分」から始めるのが良い。本書でも提案されている、そのためのおススメの方法は、日常に潜む歴史をさぐってみることだ。例えば、毎年「お正月」を祝っていても、その由来を知っていますか? ひな祭りはどうでしょうか。クリスマスは? キリストの誕生日? でも、クリスマスが「冬至」に近いのは、何か理由があるのではないでしょうか。

言葉の由来を探るのも面白い。地域の歴史でもいいし、サッカーが好きならサッカーの歴史、料理が好きなら料理の歴史を辿るのも一興だ。そして、夢中になって調べているうちに、中世ヨーロッパや古代の日本にいる自分に気づくことだろう。「自分」と「世界」は地続きなのである。


本書は阿部謹也の入門書だ。中高生向けとのことで非常にわかりやすいし、著者自身の半生に加え、ハーメルンの笛吹きから中世の差別問題まで、阿部歴史学のエッセンスが詰まっている。そしてなんといっても、著者自身がどのように「自分のなかに歴史を」読んできたかがよくわかる。おススメだ。