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自治体職員の読書ノート

仕事は福祉系。読書は雑食性。業務連絡はnsa59871atmarkexcite.co.jpへどうぞ。

【2053冊目】木下古栗『金を払うから素手で殴らせてくれないか?』

その他の本

 

金を払うから素手で殴らせてくれないか?

金を払うから素手で殴らせてくれないか?

 

 



「IT業界 心の闇」「Tシャツ」「金を払うから素手で殴らせてくれないか」の3編が収められている……が、このタイトルから内容を類推するのは不可能に近い。

週刊ポストからのOLぶっちゃけトーク引用からはじまる「IT業界」は、ツツイヤスタカ的シュール展開と思いきや、衝撃のラストに全部もっていかれる。「Tシャツ」も、話の流れがどんどんずれまくった挙句の、3ページにわたる「まち子が」の連発に身も心も絶え絶えとなる。「金を払うから…」はのっけから異次元感満載。なにしろこれは、失踪した「米原正和」を、当の米原正和と一緒に探しに行くという話なのである。

解説不可能、というか不要。得体のしれない展開と独特のリズムの文章に、ひたすら酩酊し、あるいは悪酔いするための一冊だ。特に「Tシャツ」のラストはロシアの怪物ソローキンを思わせる(この人の作品の個人的な印象としては、ソローキンとカフカ筒井康隆を足して3で割ったような感じ)。決してメジャーになることはないだろうが、日本文学の片隅で異様な花を静かに咲かせてほしい作家である。