読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

自治体職員の読書ノート

仕事は福祉系。読書は雑食性。業務連絡はnsa59871atmarkexcite.co.jpへどうぞ。

【722冊目】リチャード・フォーティ『生命40億年全史』

地球・環境・生命

生命40億年全史

生命40億年全史

著者のリチャード・フォーティは大英自然史博物館に籍を置く古生物学者で、知る人ぞ知る三葉虫愛好家。そのフォーティが、なんと生命の誕生から人類までの歴史を一気通観した力作である。

歴史といっても、世界中を飛び回り発掘や研究を続けるフォーティの体験や学界の裏話的なネタがたっぷり挿入され、語り口もリズミカルでユーモラス。まったく飽きさせずに477ページ、40億年を読み通させる力量はさすがである。特に、あまり知られていない生命誕生のプロセスから「恐竜以前」の生物の盛衰にたっぷりとページが割かれ、著者得意の三葉虫をはじめとする奇妙でミステリアスな生物が続々登場する。古生代の記述がこれほど充実した類書はめずらしいのではないか。

中でも読みどころは、かのスティーブン・ジェイ・グールドがやはり古生代の「バージェス頁岩」から発掘された奇妙な化石を取り上げて話題を呼んだ『ワンダフル・ライフ』への問題提起ではなかろうか。そもそも本書は原題が『ライフ』であり、世界中でベストセラーになった『ワンダフル・ライフ』への対抗意識がぷんぷんと匂ってくる。そのあたりの古生物業界の確執についてはよく知らないが、それでもグールドの見解を批判する本書の記述はなかなか面白く説得力がある。

また、恐竜絶滅以外にも地球上の生命は数回の「絶滅」を体験している、というのも初めて知った。また、先日読んだ「地質学の歴史」ともかぶりが多く、地質学と生物学が、特に古代にあっては表裏一体のものであることも感じられた。いずれにせよ、40億年を決して単調にならず、しかし非常にバランスよく記述した一冊であり、読み物としてもとても面白い本であった。