自治体職員の読書ノート

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【336冊目】泉正人「『仕組み』仕事術」

最少の時間と労力で最大の成果を出す「仕組み」仕事術

最少の時間と労力で最大の成果を出す「仕組み」仕事術

前に読んだ「レバレッジ時間術」と、大枠の考え方は似ているが、「仕組みづくり」という点に特化した内容となっている。

よく言われることだが、「仕事ができる人」というのは、「その人がいないと仕事が回っていかない」人ではない。そういう人は役所にもよくいるが、一見有能に見えても、えてして自分で仕事を抱え込みすぎてパンクしたり、オーバーワークに陥ったりするだけでなく、本書によれば、作業時間に時間と労力を割きすぎて「頭で考える時間」が取れなくなり、結果として知的労働に不可欠な「付加価値性」「創造性」を発揮できなくなるという点で、本人にも組織にもマイナスとなるのだという。

そこで本書が提案するのが、タイトルにもなっている「仕組みづくり」である。適切な仕組みさえあれば、ルーチンワークの部分はチェックリストなどで徹底的にマニュアル化、標準化し、誰でも短時間で、しかも見落としなくその業務をこなすことができる。もちろん、そのためのチェックリストやTODOリストの作り方のポイントもあるのだが、本書ではそこも具体例を挙げながらきちんとフォローしている。

この「誰がやっても一定の成果を挙げられるような仕組みづくり」は、いうまでもなく自治体業務にとっても超重要な要素である。これまでも何回か書いてきたが、特に事務系の自治体職員にとって、数年に一度の「異動」はほとんど異業種転職のようなもので、これまでとまるっきり無関係な分野でいきなり第一線に立たされることが普通に起きる。しかも、その業務の大半は定型性が高い(そのわりに本書のようなチェックリストや、前に読んだ本で出てきたフローチャートのような「仕組み」は用意されていないことのほうが多い)。そのため、特に異動して1〜2年の職員は定型的な業務を覚えることに忙殺され、「考える」部分にまで手が回らないことがほとんどである。機関委任事務の時代ならともかく、この地方自治地方分権の時代にこれでは到底間に合わない。自治体こそ、本書で提案されているような「仕組み」を標準装備として取り入れ、空いた時間で「頭を使って考える」ことをどんどんやっていかなければならないのではないだろうか。