【2155冊目】ヤマザキマリ『男性論』
ハドリアヌス。プリニウス。フェデリーコ2世。ラファエロ。スティーヴ・ジョブス。安部公房。水木しげる。
一見とりとめのないラインナップだが、これが著者にとっての「お気に入りの男性リスト」。共通点は、人文系と理数系、リアリストと空想家の2つの貌を併せ持ち、時代に流されず、むしろ時代を創るような人物だ、という。
昔の偉人ばっかりじゃないか、と思われるかもしれないが、著者は単なる崇拝の対象として、これらの人物を選んだのではない。ラファエロなどに対しては、むしろ本気で「同時代に絵を描きたかった」「ラファエロのチームに参加したかった」と思うというのである。だから著者は言う。「同時代の同空間に生きている人たちとの狭い横の連帯なんか気にしない。横軸を広げるだけでも十分世界は拡がります。でも、ぐっと時間軸を縦に掘り下げ、属性として自分と同じタイプの人間がいないか探していくと、ひとはいまよりも自由になれることがあります」
相手は男性とは限らない。女性であっても、やはりスゴイ人には憧れるし、刺激を受ける。須賀敦子や兼高かおる、ソフィア・ローレンやモニカ・ベルッチがそういう相手だとか。でも、本当の恋情とはそういうものなのだろう。身近に魅力的な人がいることももちろんあるが、それだけに限定してはもったいない。
自分だったら、歴史上のどんな人物に「惚れる」だろうか。そこにはどんな共通点があるだろうか。そういう人物が見つかれば、それこそが私自身のロールモデルになるのだろうが・・・・・・。
みなさんが「恋する」人物は、誰ですか?