hachiroetoのものぐさ遊読帖

自治体職員。仕事は福祉系。読書は雑食系。

【本以外】ロンドン・ナショナル・ギャラリー展に行ってきました

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美術館は久しぶり。展覧会が再開されていたのは知っていたが、なんとなく足が遠のいてしまっていた。習慣が途切れるとはおそろしい。

 

さて、ロンドン・ナショナル・ギャラリー展である。展示数は61点と、イギリスを代表する美術館の大規模コレクション展としては決して多くない。ところが、ハンパじゃないのはその「質」である。はっきりいって、そのへんの展覧会3つ分くらいの「濃度」なのである。かの美術館が海外でコレクション展を行うのは初めてらしいが、気合いを感じさせる充実度だ。

 

とにかくどの作品も圧巻なのだが、あえて個人的ベスト10を選んでみた(順番は展示番号順)。とはいえ、絵画としての優劣というより、ここまでオールスター級が揃っていると、何を選ぶかは単に趣味や感覚の問題なので念のため。まあ、とにかく足を運んで、自身の目で堪能することだ。そして、図録がとてもしっかりしているので、できれば入手したい。これだけで並の画集5冊分の価値はあると思います。

 

1 カルロ・クリヴェッリ『聖エミディウスを伴う受胎告知』


 あまり調べずに行ったので、実はこの絵が展示されていることは知らなかった。一度は見たいと思っていた絵がいきなり目の前に現れたので「うわあ」と叫んでしまった。とにかく膨大な「意味」「寓意」が大きな画面いっぱいに詰まっているので、いくら見ていても飽きることがない。

 

2 ヨハネス・フェルメール『ヴァージナルの前に座る若い女性』


 こうして他の画家の中に並んでいると、フェルメールの異質さは際立っている。女性の顔や服に光が当たり、まるでそこだけが浮き出ているかのようだ。一度目が合うと離れられなくなる危険な絵。

 

3 エル・グレコ『神殿から商人を追い払うキリスト』


 エル・グレコも大好きな画家のひとり。聖書の有名な場面だが、中央に描かれたキリストの存在感と躍動感がものすごい。フェルメールとは別の意味での迫ってくるような存在感が圧倒的。

 

4 バルトロメ・エステバン・ムリーリョ『幼い洗礼者ヨハネと子羊』


 正直ムリーリョは名前くらいしか知らなかったのだが、この絵には打ちのめされた。ヨハネの表情は、いったいこれはなんなんだ。ものすごい作品、としか形容が思いつかない。怖い。

 

5 クロード・ロラン『海港』


 ターナーが好きなのでターナーを挙げようかと思ったが、同じようなシーンでも今回はロランのコチラの絵のほうが印象に残った。ターナーは神話を舞台にしたが、ロランは現実の風景を忠実に描き、その上で神々しさを感じさせる。

 

6 アリ・シェフェール『ロバート・ホロンド夫人』


 今回は肖像画も多かった。レンブラントの自画像、ゴヤの『ウェリントン公爵』もすばらしいが、あえてあまり人が集まっていなかったこの作品を推したい。ぱっと見ただけではそれほど印象に残らないが、見ているうちに気になってくる一枚だ。

 

7 ピエール・オーギュスト・ルノワール『劇場にて』


 このあたりからは文句のつけようのない王道ばかり。実はさっきの6番からラストの10番までは同じコーナー(しかも『ひまわり』以外は同じ部屋)なのだが、この部屋は凄かった。ルノワールは、実物を見るとやっぱり全然違う。この独特の空気感はなんなんだろう。

 

8 クロード・モネ『睡蓮の池』


 モネの絵は、なんというか他の絵と焦点の合わせ方が違う気がする。適度にピントをぼやかしたり絞り込んだりしているうちに、突然その凄みが飛び出してくる。どうしてこういう絵が描けるんだろう。

 

9 フィンセント・ファン・ゴッホ『ひまわり』


 説明不要ですね。でもやっぱりゴッホは異常だ。個人的には糸杉や星夜のほうが好きだけど。

 

10 ポール・ゴーガン『花瓶の花』


 この人もまた、独自の「目」を持った人だと思う。最近『月と六ペンス』を読みなおしたので、余計にそのことを感じた。まさにゴーガンにしか描けない絵。