自治体職員の読書ノート

自治体で働くソーシャルワーカーが、読んだ本を紹介します。

【本以外】「エドワード・ゴーリーの優雅な秘密」展に行ってきました

f:id:hachiro86:20191102131840j:plain

練馬区立美術館で開催中の「エドワード・ゴーリーの優雅な秘密」展に行ってきました。

 

『うろんな客』『ギャシュリークラムのちびっ子たち』などブラックでシュールな絵本で知られるエドワード・ゴーリーの原画、挿絵、ポスターなどおよそ350点が集められ、ゴーリーの幅広い活動を知ることができます。バレエの背景や(ゴーリーはたいへんなバレエ愛好家だったらしい)、日本を舞台にしたオペラ「ミカド」の衣装デザインなども手掛けていたことを、この展覧会で初めて知りました。ハーバード大学在学中に母に宛てて出した手紙の「封筒」も展示されているのですが、これがまた秀逸。住所や宛名など、封筒の表書きがそのまま見事なイラストになっていて、それが切手や消印とともにそのまま残っているのです。

 

とはいえ、やはりゴーリーの本領発揮は絵本でしょう。この展覧会では、あまり知られていないものも含め多くの絵本が紹介されています。もちろん展示されている原画はごく一部ですが、横にあらすじがまとめられているので、どんな場面なのか理解した上で鑑賞できるようになっています。このあたりは美術館スタッフの仕事の丁寧さが光っています(ただ、絵ではなくあらすじを「熟読」する人が多くて、そこで列が滞留しちゃうんですよね・・・)。

 

原画を目の当たりにすると、あらためてゴーリーの絵の緻密さに驚かされます。もちろんスクリーントーンなどないので、背景の線もすべて手で引かれており、それがなんともいえない味わいを醸し出しているのです。そして、不気味でグロテスク、でもどこかユーモラスなキャラクター。突然家に居座って悪さをする「うろんな客」もどこか憎めないし、アルファベット順に悲惨な死に方をする子どもたちを描いた「ギャシュリークラムのちびっ子たち」も、ブラックなのだがどこか乾いているというか、突き抜けた印象があってあまり陰惨さを感じません。ちなみにゴーリー作品の個人的ベスト・ワンは、誰もいない建物を描きつつ異様な気配が漂う『ウエスト・ウイング』。怖いことなんて何も起きていないのに、これほど怖さが漂う絵本は例がないのではないでしょうか。

 

ウエスト・ウイング

ウエスト・ウイング

 

 

 

 

うろんな客

うろんな客

 

 

 

ギャシュリークラムのちびっ子たち―または遠出のあとで

ギャシュリークラムのちびっ子たち―または遠出のあとで