【1893冊目】フェルディナント・フォン・シーラッハ『禁忌』
いろんな意味で、ネタバレなしに紹介するのが難しい一冊。なので、本来の「読書ノート」ふうに、箇条書きで私なりの痕跡を残しておく。
・語り口は相変わらずの、端的で暗示に満ちたストイックなもの。だが、この人の文章は本来、抒情を残して終わる短編向きではないか。
・全体の構成が見えた時、思い出したのはレオ・レオーニの絵本『あおくんときいろちゃん』でした。
・前半と後半のつながりはいまひとつピンとこないままだった。最初は仕掛けがよくわからず、滅多にないことだが、2回繰り返して読んだ。
・ところでこの事件、日本だったらこういう扱いになっていただろうか。はからずもドイツの司法に対する日本の司法の後進性を感じてしまった。
・全体的には、やや凝り過ぎの感がなくもない。それだけ弁護士シーラッハも、「小説家」としてホンモノになってきたということか。エラそうな言い方で恐縮だが。