hachiroetoの読書ノート

この世の片隅でこっそり書き続けています。一応自治体職員。仕事は福祉系。読書は雑食系。

【676冊目】小倉広『あたりまえだけどなかなかできない33歳からのルール』

あたりまえだけどなかなかできない 33歳からのルール (アスカビジネス)

あたりまえだけどなかなかできない 33歳からのルール (アスカビジネス)

「仕事」「家族」「衣食住」など、10のカテゴリーごとにそれぞれ10個、合計100の「ルール」を列挙した本。タイトルどおり「33歳から」向けとなっており、ちょうどこれくらいの年代の私にとってはなかなか面白い一冊だった。

そもそも30代とはどういう年代か。本書は「人生を劇的に変える最後の年代」と言い切る。実際、転職は35歳くらいを超えると一気に難しくなる。リスクを負えなくなってくるのもこの年代。組織に入って10年ともなればそれなりの居場所とかポジションが決まってくるし、場合によってはその行く末までがなんとなく見えてきてしまう。結婚して子供ができたり、マンションを買ってローンを組んだりする人も多いだろう。

一言で言うと、人生の「現実」というものがなまなましく見えてきてしまう年代なのだ。かく言う私も、最近になって「自分の人生、これでいいの?」という疑念がやたらに頭をもたげるようになってきて参っている。役所で「大過なく」(これって嫌な言葉ですね)それなりの役職についてそれなりの仕事をして、それなりに家族をもって子どもを育てて……という、学生時代だったら死んでもなりたくなかったような平凡な生活、平凡な人生が見えてきてしまっているからである。「そこそこ」の平凡な人生が一番よ、と言う人もいるが、まだまだそこまで達観できない自分がいる。

本書の著者は40代で、リクルート社で10年働いた後ベンチャー企業に転職、さらに独立という、私からみれば見事なキャリアアップをなさっている。本書はその豊富な体験をもとに、30代のわれわれにとっての「兄貴分」的なポジションから、「人生の秘訣」について語るという立ち位置を取っている。ひとまわり年上という、その距離感が心地よい。仕事帰りの居酒屋あたりで、ちょっと説教癖があるが面倒見の良い先輩から、仕事訓や人生訓を聞いている気分で読める。

ただ、そこらの「先輩」と決定的に違うのは、その語り方のうまさである。この「語り方」「書き方」こそ、実はコンテンツそのもの以上に読んでいて参考になったところである。パターンは決まっていて、だいたい著者自身や知人の若き日の失敗談を語り、そこから普遍的な「ルール」に話をつなげていくというものなのだが、その「つなぎ方」がナチュラルで、めっぽううまい。著者は、ご自身の天命を、失敗体験から見つけ出した幸せに生きるための処方箋を伝えることだと、ある時気づいたそうである。うなずける。すべての「ルール」が見開き2ページに収まっているのも良い。

内容について細かくは触れないが、実は、著者の考えと私の考えはだいぶ違うところがある。だが、違う考えを読むのも悪くない。漠然として見えなかった「自分の人生の方向性」が、本書に書かれている「ルール」と対照することで、かえって際立つように見えてくるからである。ちなみにそれがどういうものかについては、次回。迷った時に戻るべき一冊のところに、久しぶりに戻ってみることにしたので、ね。