自治体職員の読書ノート

自治体で働くソーシャルワーカーが、読んだ本を紹介します。

【513冊目】齋藤嘉則「問題発見プロフェッショナル」

問題発見プロフェッショナル―「構想力と分析力」

問題発見プロフェッショナル―「構想力と分析力」

問題は、解決するより発見することのほうが難しい、といわれることがある。

真理だと思う。さらに言えば、本書にも書かれているが、問題の姿がしっかりと捉えられれば、実はその時点であらかた解決してしまっていることも多いのだ。むしろ、問題が何なのかはっきり認識せず「解決」ばかり模索していても、いたずらに時間が過ぎるばかりか、見当違いの解決策で余計に傷口を広げることが多い。

本書は、タイトルの通り、問題を発見し、分析するための方法論を扱った一冊である。著者はマッキンゼー出身のコンサルタント。本書には、その豊富な知見に基づく「問題発見メソッド」が、非常に具体的かつ明快に述べられている。

著者はまず、問題を「あるべき姿と現状のギャップ」と定義する。この定義、一見非常にカンタンに見えるが、実はなかなか奥が深い。それはその後の本書の展開を見るとわかる。著者はこの定義に続き、「あるべき姿とは何か」「現状をどう分析するか」「ギャップの内容をどう分析するか」と、どんどん掘り下げていく。そして、この3点を把握できれば、上に書いたように問題はすでに問題でなくなっていることすらある。本書は、要するにこの3つを解説した一冊であると言っても過言ではない。

もちろん問題発見や分析の手法は、そのまま問題解決の手法に通ずる。本書の後半部分は、こうした問題分析手法のうち典型的なものを挙げている。MECE、コーザリティ分析、相関分析など、発想の仕方だけでも知っておくべき内容ばかり。自治体職員の業務にも大いに役に立つ手法ばかりである。また、本書は図表の使い方が格段にうまい。図表がたっぷり使ってあってもよくわからない本というのも時々あるが、本書の図やグラフは実に明瞭。なるほど、図やグラフというのはこう使えばいいのか、と納得させられる。