自治体職員の読書ノート

自治体で働くソーシャルワーカーが、読んだ本を紹介します。

【507冊目】「事例から学ぶ住民訴訟」

事例から学ぶ住民訴訟

事例から学ぶ住民訴訟

tihoujiti様、kei-zu様ご推奨の本。kei-zu様のブログとはまたもニアミスでの紹介となった。

前半が具体的な住民訴訟の事例、後半が住民訴訟制度の解説や「対処法」というユニークな構成となっている。やはり目玉は前半部分であろう。45件の住民訴訟の裁判例をなんと「部署別」に列挙し、事案の概要、判決の内容、さらに「予防」として、このような訴訟にまで至らないために心しておくべき日常業務上の注意点までをコンパクトにまとめている。スタイルとしてはいわゆる「百選」に近いが、判例解釈に重点が置かれる百選に対して、本書は徹底的に実務対応型の記載となっている(し、わかりやすい)。特に「予防」については、裁判に勝ったからOK、というような安易な解釈ではなく、その判断内容、当該判決を導き出すにあたって裁判官が考慮した点にまで言及し、具体的に気をつけるべき点、戒めるべき点を明らかにしており、住民訴訟の内容を一般化した上で自治体関係者にフィードバックするものとなっている。

また、後半の制度説明や住民訴訟の流れの解説も非常によくできており、制度をよく知らない場合はこちらを先に読んだ方が裁判例の理解も深まると思われる。さらに資料として、テーマ別に「違法性チェックリスト」までついた、至れり尽くせりの一冊である。少なくとも、前例踏襲の怖さと判例学習の必要性は、本書を読めば身に沁みて理解できるだろう。