【263冊目】 松岡正剛「17歳のための世界と日本の見方」
- 作者: 松岡正剛
- 出版社/メーカー: 春秋社
- 発売日: 2006/12/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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「17歳のための」とタイトルにあったので、なんとなく手が出しづらかったのだが、読んでみたらすごく面白かった。
内容は、大学1年生向けの講義5回を書籍化したもので、だいたい16世紀くらいまでの世界史と日本史をハイスピードで案内するものとなっている。それも、教科書等でおなじみの大文字の事件を追うのではなく、宗教や文化、民族などの「ソフト」面に重点を置き、時には驚くほど細部に切り込みながら、著者一流の視点をもとに大胆でダイナミックな歴史の「見方」を提示している。
特に、宗教と歴史の関係についての見方がとても充実している。西欧のキリスト教、東洋の仏教が、それぞれどのような変遷をたどり、それが歴史全体の変容とどのようにシンクロしているか。また、日本神話についても、本全体のボリュームからすればかなり丁寧に記述してあり、その発想が日本史のいわば礎となっていることがよく分かる。
この著者の「情報の歴史を読む」という本を以前読んだが、内容的にはあれとかなり近い。ただ、あれよりかなりコンパクトで内容が絞り込まれており、その分、著者のいう「編集的」歴史観が鮮やかに浮かび上がってきている。それにしても、読んでいたら「たらこスパゲッティ」が食べたくなってきた。