hachiroetoの読書ノート

この世の片隅でこっそり書き続けています。一応自治体職員。仕事は福祉系。読書は雑食系。

【194冊目】ヴィクトル・ユゴー「レ・ミゼラブル」

レ・ミゼラブル 全4冊 (岩波文庫)

レ・ミゼラブル 全4冊 (岩波文庫)

思えば「レ・ミゼラブル」に触れたのは子供の頃に読んだダイジェスト版と、いつだったかミュージカルで観たきりであった。今回初めてその全貌を知り、腰が抜けた。圧倒された。ストーリーという「骨」も素晴らしいが、今回打ちのめされたのは、なんと言っても「肉」にあたる描写の部分である。ユゴーはこの小説に、ありとあらゆるものを書き込んだのだ。おぞましい悪、社会の貧困と悲惨、暴力、打算、そのほかありとあらゆる醜いものをこれでもかと書き、それに匹敵する善と光、崇高さ、愛情の偉大さ、革命に臨む若者たちの自己犠牲、自らを捨てて人を救う人間の偉大さをも描ききった。この小説には世界が書かれている。人間のもっとも醜悪な面ともっとも崇高な面、社会のもっとも悲惨な局面ともっとも光り輝く局面が、すべて余すところなく描かれているのである。そして、そのなかを貫く骨太の物語は、人の心の一番深いところを揺さぶる力をもつ。ロマン派の流れを汲む巨大な傑作である。