【188冊目】宮城谷昌光「沈黙の王」
- 作者: 宮城谷昌光
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1995/12
- メディア: 文庫
- クリック: 7回
- この商品を含むブログ (18件) を見る
古代王朝〜春秋戦国時代初期を舞台とした小説集。短編とはいえそれぞれにかなり読みでがある。表題作の「沈黙の王」がやはり独特。言語障害をもって生まれた王子が言葉を探す旅に出るという設定は典型的な貴種流離譚のスタイルだが、その結末として「文字という言葉」を発見するというところに寓話的な深さを感じる。語られる言葉と刻まれる言葉の対比には、言語というものの本質がうかがえて興味深い。