自治体職員の読書ノート

自治体職員です。仕事の関係上、福祉系が多めです。読書は全方位がモットー。

【19冊目】出井信夫他「地方財政データブック」

図説 地方財政データブック〈平成17年度版〉

図説 地方財政データブック〈平成17年度版〉

実はこの本を見つけたのはたまたまであった。わが区の財政課においてあったのをぱらぱら見せてもらい、これは使えると直感して即購入したものだ。そして、その直感はどうやら外れていなかったらしい。

タイトルからは地方財政に関する統計資料が並んでいる白書みたいなものかと思ったが、実は地方財政をめぐる国と地方の関係を中心に地方財政について広く扱った詳細なテキストである。

コンパクトなサイズながら、三位一体改革の動向や地方における行政改革の現状を、総務省内閣府がまとめた最新のデータをふんだんに使って示している。この分量でこれだけデータが充実した地方財政に関するテキストはちょっと記憶にない。その上、説明も明瞭かつ詳細であり、非常によくまとまっている。はっきりいって使える。  

地方財政というと財政担当者だけの問題かとも思えるが、実は地方自治全般の現状がここに集約されているのだと強く感じる。こと地方分権に関しては、法整備と財政的措置はまさに車の両輪であるからだ。したがって、地方分権の行く末に関心のある方であれば、本書は価値ある一冊になるのではないか。