hachiroetoの読書ノート

この世の片隅でこっそり書き続けています。一応自治体職員。仕事は福祉系。読書は雑食系。

【3冊目】なぎら健壱「ぼくらは下町探検隊」


ぼくらは下町探険隊 (ちくま文庫)/なぎら 健壱 ちくま文庫 - 本:hontoネットストア

自らも「下町」中央区に産まれ、江東区に住むフォークシンガー、なぎら健壱氏が綴った旧き良き下町の記録である。前半は昔の下町を知る「お父さん」「おじさん」と子どもが対話しながらいろんな下町地域をめぐるという設定で、後半はやや知識面に重きを置き、下町の歴史について詳しく書いている。 

読んでみると、確かに昔のことが良く分かる。今の下町がどういう成り立ちのもとにあるかが当時の生活に密着してとても具体的に書かれており、固い言い方ではあるがとても勉強になる。 

しかし、一方で「昔は良かった」の押し付けがやや鼻につき、説教臭いのが気になる。むしろ淡々と昔の情景を綴っていただいた方が、自然と読み手に「古いもの、歴史あるものの大切さ」や「下町情緒や風情のありがたさ」を感じさせ、そういうものを大事にしたくなるものだと思うが・・・・・・。まあ、このあたりは、プロのもの書きではないのだから仕方ないかもしれない。

なお本書にはたくさんのイラストと写真が掲載されているが、どれもとても良い。特に30年ほど前の下町を写した写真はなんともいえない味わいがあり、すばらしい。