自治体職員の読書ノート

自治体職員です。仕事の関係上、福祉系が多めです。読書は全方位がモットー。

2022-06-01から1ヶ月間の記事一覧

【2842冊目】町田康『壊色』

壊色 (ハルキ文庫) 作者:町田 康 角川春樹事務所 Amazon これは小説? エッセイ? 日記? それとも詩? 分類不能の一冊です。 例えばこんな感じ。 「確かにそのような日々 石炭殻、風に舞うモノトーンの風景に 突然、フォルクスワーゲン出現する。 確かにそ…

【2841冊目】『フラナリー・オコナー全短編 上下』

フラナリー・オコナー全短篇〈上〉 (ちくま文庫) 作者:フラナリー オコナー 筑摩書房 Amazon フラナリー・オコナー全短篇〈下〉 (ちくま文庫) 作者:フラナリー オコナー 筑摩書房 Amazon 一部、物語の結末に触れておりますので、ご注意ください。 ずいぶん前…

【2840冊目】ポール・ウィリス『ハマータウンの野郎ども』

ハマータウンの野郎ども ─学校への反抗・労働への順応 (ちくま学芸文庫) 作者:ポール・ウィリス 筑摩書房 Amazon 原題の「learning to labour」も素晴らしいが、邦題もおもしろいですね。本書のトーンとエッセンスがよく伝わるタイトルだと思います。 本書の…

【2839冊目】町田康『夫婦茶碗』

夫婦茶碗(新潮文庫) 作者:町田康 新潮社 Amazon 短編2つが入っています。「夫婦茶碗」は働かない夫が妻に言われていろいろ仕事をするがうまく行かない話、「人間の屑」はいろいろあって逃げ回らざるを得なくなったパンクロッカーの珍道中・・・・・・なのですが…

【2838冊目】アニー・ディラード『本を書く』

本を書く (ポケットスタンダード) 作者:アニー ディラード 田畑書店 Amazon ライティングメソッドの本では、ありません。 文章作法の本とも、違います。 これは、もっと根源的な、「書く生活」あるいは「書く人生」の要諦を綴った本なのです。 久しく絶版で…

【2837冊目】町田康『供花』

供花 (新潮文庫) 作者:康, 町田 新潮社 Amazon 先日読んだ『くっすん大黒』より先に出た、町田康の第一詩集です。 詩集、と言われて、どんな内容を連想するでしょうか。 どんなことであっても、この詩集を読めば、その想像は裏切られます。 たとえば・・・・・・ …

【2836冊目】小紫雅史『10年で激変する!「公務員の未来」予想図』

10年で激変する! 「公務員の未来」予想図 作者:小紫 雅史 学陽書房 Amazon この手の本を読むのは本当に久しぶりでした。この「読書ノート」を始めた頃に集中的に読んでいたのですが、あまりにも内容が薄く、また似たような本が多く、少々ヘキエキして遠ざか…

【2835冊目】町田康『くっすん大黒』

くっすん大黒 (文春文庫) 作者:町田 康 文藝春秋 Amazon 町田康のデビュー作ですが、いきなり物凄い。いったいどうして、どこからこういう小説が出てくるんでしょうか。 家に転がっていた金属製の大黒が不愉快なので捨てに行く。言ってみればそれだけの話な…

【2834冊目】山岸涼子『鬼』

鬼 (潮漫画文庫) 作者:山岸 凉子 潮出版社 Amazon 「怖い」というより「哀しい」一冊でした。 特に最初の「鬼」という作品ですね。飢饉にあえぐ江戸時代の東北で、口減らしのため穴に捨てられた子供たちと、その場所を訪れた現代の大学生たち。 穴に捨てられ…

【2833冊目】川端康成『古都』

古都 (新潮文庫) 作者:康成, 川端 新潮社 Amazon 不思議な小説です。古都・京都の風物を背景に、千重子と苗子という幼い頃生き別れた双子の再会と交流を描いているのですが、読み終わって印象に残るのは、なぜか、背景のはずの京都の祇園祭やチンチン電車や…

【2832冊目】トルーマン・カポーティ『カポーティ短篇集』

カポーティ短篇集 (ちくま文庫) 作者:トルーマン カポーティ 筑摩書房 Amazon 文庫オリジナルの短篇集とのことです。エッセイや旅行記に近いものから、やや長めの読みごたえのある作品までバランスよく収められています。 文章がいいですね(もちろん翻訳も…

【2831冊目】アランナ・コリン『あなたの体は9割が細菌』

あなたの体は9割が細菌 微生物の生態系が崩れはじめた (河出文庫) 作者:アランナ・コリン 河出書房新社 Amazon 本書は人体内部の「細菌」を主人公とした一冊です。人間の体質や行動、病気を決めているのは、DNAよりむしろ共生する細菌たちだった、というシ…