自治体職員の読書ノート

自治体職員です。仕事の関係上、福祉系が多めです。読書は全方位がモットー。

2021-03-01から1ヶ月間の記事一覧

【2680冊目】宮部みゆき『あかんべえ』

あかんべえ(上) (新潮文庫)作者:みゆき, 宮部新潮社Amazon あかんべえ(下) (新潮文庫)作者:みゆき, 宮部新潮社Amazon 時代小説で人情モノ、お化けも登場しミステリ要素もたっぷりと、こう書いてみるといかにも盛りだくさんなのだが、それを感じさせずす…

【2679冊目】津止正敏『男が介護する』

男が介護する 家族のケアの実態と支援の取り組み (中公新書)作者:津止正敏中央公論新社Amazon 息子や夫が介護をやっている、と聞くと、ケアマネや包括職員など、多くの福祉関係者が警戒モードになる。他人の干渉を嫌う、「俺流」の介護にこだわる、家族会に…

【2678冊目】宇佐美まこと『羊は安らかに草を食み』

羊は安らかに草を食み作者:宇佐美まこと祥伝社Amazon すばらしい小説でした。たまにこういう小説に出会えるから、本読みはやめられません。この小説は、ふたつの「旅」で構成されています。第一の旅の舞台は、現代。認知症になってしまった益恵が施設に入る…

【2677冊目】ジョージ・フリードマン『100年予測』

100年予測作者:ジョージ フリードマン早川書房Amazon 地政学の本が、書店でも最近目立つようになってきた。内容は玉石混淆だが、地政学のおもしろさと凄みを知りたければ、ジョージ・フリードマンをオススメしたい。アメリカで「影のCIA」の異名をもつ情報分…

【2676冊目】ケン・リュウ『紙の動物園』

紙の動物園 (ケン・リュウ短篇傑作集1)作者:ケン リュウ早川書房Amazon 現代SFを代表する名作。とはいえ本書のセレクションは、SFというより、どちらかというとファンタジーに近い。あるいは「寓話」というのが、一番近いかもしれない。ただしそれは、どこか…

【2675冊目】こうの史代『この世界の片隅に』

この世界の片隅に : 上 (アクションコミックス)作者:こうの史代双葉社Amazon この世界の片隅に : 中 (アクションコミックス)作者:こうの史代双葉社Amazon この世界の片隅に : 下 (アクションコミックス)作者:こうの史代双葉社Amazon はい。オールタイムベ…

【2674冊目】ショーン・タン『セミ』

セミ作者:ショーン・タン河出書房新社Amazon ショーン・タンの絵本はどれも絶品ですが、これは、その中ではやや大人向けの、皮肉の効いた一冊。主人公のセミは17年間、人間たちの会社でデータ入力の仕事をやっています。欠勤もミスもなく、でも「人間ではな…

【2673冊目】『牧野富太郎 なぜ花は匂うか』

牧野富太郎 なぜ花は匂うか (STANDARD BOOKS)作者:富太郎, 牧野平凡社Amazon 草花にはとんと疎い私ですが、牧野富太郎のことはずっと気になっていました。日本植物学の父であり、94年の生涯を植物学に捧げてきた人物です。本書はその牧野植物学の入門書。最…

【2672冊目】平安寿子『こっちへお入り』

こっちへお入り (祥伝社文庫)作者:平 安寿子祥伝社Amazon 落語にハマっていくOLさんのお話です。小説としては、いささかとりとめのない印象。使えない新人の話、家族の揉め事の話、友人の失恋の話など、トピックとしては色々出てきますが、どれもあまり深ま…

【2671冊目】鬼海弘雄『世間のひと』

世間のひと (ちくま文庫)作者:鬼海 弘雄筑摩書房Amazon 東京・浅草、浅草寺。著者は、1973年から40年にわたり、そこに行き交う人を撮り続けた。撮られているのは、ほとんどが無名の人ばかり。言うなれば、私が普段すれ違っている人、電車で乗り合わせた人と…

【2670冊目】白洲正子『両性具有の美』

両性具有の美 (新潮文庫)作者:正子, 白洲新潮社Amazon 解説で大塚ひかりが書いているとおり、「両性具有」とはいっても、本書に書かれているのはすべて「男性の女性化」としての両性具有の話であって、しかも題材はほとんど日本の歴史や物語からのものである…

【2669冊目】ギュスターヴ・フローベール『ボヴァリー夫人』

ボヴァリー夫人 (新潮文庫)作者:ギュスターヴ フローベール新潮社Amazon 美しい人妻エンマは、平凡な夫に飽きていた。夢見ていたようなロマンティックな結婚生活が得られず、ついつい浮気に走ってしまう。最初は、女遊びに慣れた中年イケメンのロドルフに誘…

【2668冊目】西智弘編著『社会的処方』

社会的処方: 孤立という病を地域のつながりで治す方法作者:西 智弘,藤岡 聡子,横山 太郎,守本 陽一,森田 洋之,井階 友貴,村尾 剛志学芸出版社Amazon 認知症や鬱病、運動不足といった問題があって病院に行っても、ふつうは薬を処方されて終わりです。相談セン…

【2667冊目】中山七里『連続殺人鬼カエル男』

連続殺人鬼カエル男 (宝島社文庫)作者:中山七里宝島社Amazon 以下、ネタバレに近い記述がありますので、未読の方はご注意ください。.........う〜ん。ミステリとしては面白いのかもしれないけど、私には合わなかったようです。欠陥が目につきすぎて、謎解き…

【2666冊目】 さくらももこ『もものかんづめ』

もものかんづめ (集英社文庫)作者:さくらももこ集英社Amazon いや〜、こりゃやばかった。面白すぎる。電車の中で読んでいて、プルプル震えてしまった。さくらももこの日常を描いたエッセイなのだが、とにかく何気ない出来事やその時の感覚を言語化するのがう…

【2665冊目】五十嵐大介『魔女 第1集』

魔女 (IKKI COMIX)作者:五十嵐大介小学館Amazon イスタンブールを舞台に、糸を紡ぐ遊牧民の娘シラルと、バザールの地下に眠る怨敵に呼びかけるニコラの「二人の魔女」を描く「SPINDLE」。熱帯雨林に住む呪術師クマリと、開発のためやってくる兵士たちを描く…

【2664冊目】野矢茂樹『語りえぬものを語る』

語りえぬものを語る (講談社学術文庫)作者:野矢茂樹講談社Amazon 「語りえぬものを語る」。ずいぶん奇妙なタイトルです。だいたい「語りえない」=「語ることができない」ものを「語る」とは何事でしょうか。タイトル自体が矛盾しています。不可能です。しか…

【2663冊目】アンソニー・ホロヴィッツ『カササギ殺人事件』

カササギ殺人事件〈上〉 (創元推理文庫)作者:アンソニー・ホロヴィッツ東京創元社Amazon カササギ殺人事件〈下〉 (創元推理文庫)作者:アンソニー・ホロヴィッツ東京創元社Amazon アンソニー・ホロヴィッツの名を知らしめた一冊にして、前代未聞の「ダブル・…

【2662冊目】寺山修司・宇野亜喜良『壜の中の鳥』

壜の中の鳥作者:寺山 修司アートンAmazon 「なぞなぞ たてろ 同じ鳥でも飛ばないとりはなあんだ? それはひとり という鳥だ」寺山修司の文章と、宇野亜喜良の絵がコラボした一冊です。挿絵ではあるのですが、叙情と叙情が響き合って、なんともふしぎな世界を…

【2661冊目】島田昌和『渋沢栄一』

渋沢栄一――社会企業家の先駆者 (岩波新書)作者:島田 昌和岩波書店Amazon サブタイトルに「社会企業家の先駆者」とあったので、ソーシャルアントレプレナーとしての渋沢栄一について知ることができるのではないかと考え、手に取りました。渋沢栄一は社会福祉…