2020-06-01から1ヶ月間の記事一覧
著者の経歴が異色である。現在は意思決定コンサルタントとして活躍中とのことだが、その前はなんと、プロのポーカー・プレーヤーだったのだ。世界大会での優勝経験もあるというから、ギャンブラーのトッププロといっていい。。 本書は、そんな「賭けの達人」…
「分かりやすい文章」の技術―読み手を説得する18のテクニック (ブルーバックス) 作者:藤沢 晃治 発売日: 2004/05/21 メディア: 新書 最初に一言。この本、今年1月に新装版が出ている。しかも単行本である。新書が単行本として「新装」されるのはちょっとめ…
透明標本-吉村昭自選初期短篇集II (中公文庫) 作者:吉村 昭 発売日: 2018/10/23 メディア: 文庫 自選初期短篇集として編まれた2冊のうちの1冊。もう一方の『少女架刑』のレビューはコチラ 吉村昭といえば歴史モノや、実際の事件をもとにした作品が多い印象…
排除の現象学 (ちくま学芸文庫) 作者:赤坂 憲雄 発売日: 1995/07/01 メディア: 文庫 本書が刊行されたのは1986年。当時の日本では、すでにさまざまなカタチでの「排除」が起きていた。そして残念なことに、当時と現代を比べると、どう考えても、排除や差…
迷惑な進化 病気の遺伝子はどこから来たのか 作者:モアレム,シャロン,プリンス,ジョナサン 発売日: 2007/08/25 メディア: 単行本 たとえば、ヘモクロマトーシス。体内に鉄が溜まるという遺伝病である。西ヨーロッパ系の人々に多く、原因となる遺伝子をもって…
調理場という戦場―「コート・ドール」斉須政雄の仕事論 (幻冬舎文庫) 作者:斉須 政雄 発売日: 2006/04/01 メディア: 文庫 「毎日やっている習慣を、他人はその人の人格として認めてくれる」(p.37) どんな道であれ、その道で「ホンモノ」となった人の言葉は、…
十二人の手紙 (中公文庫) 作者:ひさし, 井上 発売日: 2009/01/25 メディア: 文庫 11の書簡形式の短編が、これも書簡による「プロローグ」と「エピローグ」に挟まれている。個々の短編は独立しているが、エピローグで思わぬつながりを見せ、同時にプロロー…
誤作動する脳 (シリーズ ケアをひらく) 作者:樋口 直美 発売日: 2020/03/02 メディア: 単行本 最近こういった本が増えてきた。こういった本、というのは、病気や障害の当事者みずからが、その体験や思いを語る本、ということだ。高機能自閉症、統合失調症、…
久々の映画リポート。というか、そもそも映画館で映画を観ること自体が久しぶり。これまで当たり前にやっていたことのありがたみを感じる。客と客の間に空席を2つずつという「コロナ対応モード」は、映画館の収益上のダメージは大きいだろうが、観る側とし…
シンギュラリティとは、AIが人類をしのぐ知能を獲得する「技術的特異点」のこと。だが、著者はそれを幻想にすぎないと断言する。そもそもAI(人工知能)とは、もともとは人間や動物のもっている知能をよく理解するための方法として、コンピュータ上で知…
ごみ収集という仕事: 清掃車に乗って考えた地方自治 作者:誠一郎, 藤井 発売日: 2018/06/06 メディア: 単行本 大学で教えるセンセーが、9カ月にわたりごみ収集の現場で働きつつ「参与観察」を行った。本書はそこから見えてきたごみ行政の現実をもとに、歴史…
寒椿 (新潮文庫) 作者:登美子, 宮尾 発売日: 2002/12/25 メディア: 文庫 生みの親に売られた先の芸妓子方屋「松崎」で、共に過ごした4人の女性の、行く末の物語を綴った短篇集。 4人の生涯は、一般的な意味では、決して幸福とはいえないだろう。男に囲われ…
お客様の中に、テレパシーを使える方、透視のできる方、未来を予知できる方、死者の言葉を聞くことができる方はいらっしゃいますか? そう問われたら、あなたが一定の視覚障害をお持ちでない限り、この問いかけに手を挙げなければならない。なぜか。 まず「…
たいへんよく売れている本。こういう本が売れていることに、今の日本へのかすかな希望を感じる。 ミドルクラスの通うカトリック系小学校から急転直下、格差と貧困の渦巻く「元底辺中学校」に通うことになった著者の息子さんが、本書の主人公。思春期の入口に…
スラップスティック 作者:カート ヴォネガット,浅倉 久志 発売日: 2013/06/04 メディア: Kindle版 Kindle版しか出てこないが、読んだのは文庫。古書店で購入した。 初ヴォネガット。「自伝に近いもの」ということだが、書いているのは合衆国大統領。幼い頃は…