【本以外】映画『ROMA』はホンモノ

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素晴らしい映画。リアルタイムで、スクリーン上で出会えたことを喜びたい。

 

とはいえ、実はこれ、ネットフリックスの独占配信だったものが、一部の映画館で公開されたもの。有料配信サイトから一般映画館へ、という流れがこれでできるのかわからないが、ネットフリックスのコンテンツの質の高さを知らしめるという意味では強烈なインパクトがある。ハリウッド映画10本が束になってかかってもかなわない、映画としてのクオリティの高さが本作にはあるからだ。ベルリン映画祭で金獅子賞を獲ったというが納得だ。

 

政情不安に揺れる70年代のメキシコを背景にモノクロで描かれる、胸を締め付けられるようなストーリー。切なく、でも心温まる物語は、まさに映画たるものかくあるべし、といった感じで、観客の気持ちを一度つかんだら離さない。主人公の家政婦クレオと、裕福な家の母や子どもたちとの関係には独特なものがあるが、かつての日本でも同じようなことがあったのだろうか。

 

描写も見事。特に水の描写には感心した。冒頭の石畳を流れる水(水の流れと音だけで、誰かが石畳を掃除しているのがわかる)、コップに注がれる水、道路にできた水たまりから荒れ狂う海の水まで、その描写自体がひとつの芸術となっている。冒頭、濡れた石畳に映る空を横切る飛行機が、ラストでは実際の上空を横切っていく、そのコントラストが妙に忘れがたい。