自治体職員の読書ノート

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【2229冊目】出口治明『「働き方」の教科書』

 

「働き方」の教科書: 人生と仕事とお金の基本 (新潮文庫)

「働き方」の教科書: 人生と仕事とお金の基本 (新潮文庫)

 

 

「五〇代は無敵です」(p.13)

 


本書の冒頭で、著者はこう言い切る。なぜか。五〇歳ともなれば、自分の得意分野や能力の限界も、子ども(いれば)の行く末もだいたい見えている。ビジネスで培ったスキルや人脈も相当なもの(のはず)だ。ちなみに、貯金もそれなりにある(はず)。つまり五〇代とは、人生のリスクをコストに変えることができる年代なのである。

だからこそ、著者は「五〇代こそ起業に最適」だという。これは言葉を変えれば、起業もできないような五〇歳になってしまったら、今まで何をやってきたのか、ということになってしまうのだが、本書はそのことを具体的なロードマップとして、年代ごとに示してくれている。

二〇代は四の五の言わず、仕事の基本をきっちり身につける。三〇代から四〇代は、部下をもつ人も多いだろうから、部下を育て、マネジメントする方法を身につける。面白いのは「四〇代になったら得意分野を捨てる」という言葉。これはつまり、プレイヤーからマネージャーへと意識を転換しろ、ということだ。考えてみれば、私は今、ちょうどここの段階。自分でやっていた時には見えていた細部が、立場が変わって見えなくなる。そんな不安を、私もちょうど抱えていた。

本書を読んで感じたのは、仕事の細部が分からなくなることは当然として、「仕事ではなく、人を見る」のが重要であるということだ。部下の仕事のやり方や考え方、能力を通して、その仕事を見ていくというイメージである。そうしないと、身が持たない。組織が大きくなり、出世すればするほど、それはあてはまることなのだろう。自分がそっちの方に進むかどうかはともかくとして。

仕事は自分の人生の時間の、わずか3割だそうである。人生のすべてを捧げるには少ないが、どうでもよいと言い切れるほど少なくはない。だったら、仕事こそ自分の人生の彩りと考えて、目いっぱい楽しんでいけばよいのではなかろうか。組織の中でそれが難しそうなら、転職するか、実力と貯金がたまるのを待って起業すればよい。特に地方公務員は、起業なんて他人事と思っている人も多いだろうが、いやいや、案外チャンスは身近なところに転がっているものなのである。