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自治体職員の読書ノート

仕事は福祉系。読書は雑食性。業務連絡はnsa59871atmarkexcite.co.jpへどうぞ。

【2217冊目】西加奈子『ふくわらい』

 

ふくわらい (朝日文庫)

ふくわらい (朝日文庫)

 

 

「言葉を使うのが怖いときってあるよ」
「その言葉がすべてになっちまうんだから」

 


以前読んだ同じ著者の『さくら』はあまりピンとこなかったが、この本はとてもよかった。充実度が際立っている。

主人公の「鳴木戸定」がおもしろい。最近のマンガでちょくちょく見る、空気が読めず人の感情がわからない発達障害系キャラなのだが、雨乞いのやり方を知っていたり人の顔のパーツを動かして「ふくわらい」をしたりと、妙な特技というか特徴がいっぱいあって、それがなんとも魅力的なのだ。

だが、変わらないように見える定も、さまざまな出会いを経て少しずつ変わっていく。実はナイーヴなプロレスラー作家の守口。目が見えないが定に「一目惚れ」してしまう武智。定の同僚でめちゃくちゃ美人の小暮。定のようにマイペースで人に影響されないように見える人でも、やはり人とのかかわりの中で何かが変わる。そのことに、心の深いところで勇気づけられる。