自治体職員の読書ノート

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【2196冊目】伊坂幸太郎『SOSの猿』

 

SOSの猿 (中公文庫)

SOSの猿 (中公文庫)

 

 

「分かる、と無条件に言い切ってしまうことは、分からないと開き直ることの裏返しでもあるんだ。そこには自分に対する疑いの目がない」(p.122)

 


上の引用は本書に出てくるイタリア人エクソシスト、ロレンツォの父親のもの。「自信満々に言い切る親には注意を払いなさい」というフレーズに続くものなのだが、う~ん、これ、よくわかる。

仕事でいろんなケースとその親に接していると、「親だからわが子のことは一番わかっている」と確信している人によく出会う。というか、ほとんどの親がそう思っていると言っても良い。それに、ひるがえって親としての自分を考えてみても、わが子のことは自分が一番よくわかっている、と言いたくなる。

だが、第三者の目から見ればどう考えても明らかなことが親にだけは見えていない、というケースを、仕事の上とはいえこれだけ見てくると、自分のわが子を見る目にもちょっと自信がなくなってくる。特に中学生にもなると、自分が見えていない側面の方が多いのではないか、と思えてくるのである。冒頭のセリフからすれば、それはむしろ「自分に対する疑いの目」が育ってきている、ということなのかもしれないが、そのことを認めたくない自分もまた、確かにいる。

一般的に敷衍すれば「無知の知」ということなのかもしれないが、それがいかに難しいことか。なぜなら、それは「知っている自分」に対して、常に疑いの目を向けるということなのだから。・・・・・・え、それより、この『SOSの猿』ってどんな本なのか、って? その答えは決まってるでしょ。「どんな本なのかは、よくわからない」のですよ。まあ、強いて言えば「エクソシスト西遊記」ということになるのかもしれないが・・・・・・余計わからない、ですよね?