自治体職員の読書ノート

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【2178冊目】デニス・ルへイン『夜に生きる』

「おれたちがサービスする客は(略)夜を訪ねる。だが、おれたちは夜を生きてる。客はおれたちの持ち物を借りる。つまり、うちの砂場で遊ぶわけだから、こっちはそのひと粒ひと粒から利益を得なきゃならない」(デニス・ルへイン『夜に生きる』p.37)

 

 

 

夜に生きる 〔ハヤカワ・ミステリ1869〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

夜に生きる 〔ハヤカワ・ミステリ1869〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

 

 
以前読んだ『運命の日』の主人公ダニーの弟、ジョーが主人公のノワール・ミステリがこの『夜に生きる』だ。同じ警察幹部の息子でも、ダニーが正しいと信じる道を進んだのに対して、ジョーはなんと裏社会でギャングとしてのしあがろうとする。

一瞬も油断のできない、禁酒法時代のアメリカのアンダーワールド。刑務所に入り、船を爆破し、敵対するギャングと闘い、裏切り、裏切られ・・・・・・。何が起きてもおかしくない時代とはいっても、次から次へとやってくる予想外の展開は、文字通り読むのがやめられなくなる。

そして、「夜に生きる」道を選び、表社会のルールから離れて生きるがゆえの絶望と悲哀が、読むほどに胸を打つ。たぶん、表の社会で「まっとうに」暮らした方が、ジョーにとっては楽だったに違いない。だがそれでも、やはり夜の社会に殉ずるのが、おそらくはジョーにとっての矜持であって、「悪」の美学なのである。