自治体職員の読書ノート

自治体職員です。仕事の関係上、福祉系が多めです。読書は全方位がモットー。

【2171冊目】アンデシュ・ルースルンド&ステファン・トゥンベリ『熊と踊れ』

 

熊と踊れ(上)(ハヤカワ・ミステリ文庫)

熊と踊れ(上)(ハヤカワ・ミステリ文庫)

 

 

 

熊と踊れ(下)(ハヤカワ・ミステリ文庫)

熊と踊れ(下)(ハヤカワ・ミステリ文庫)

 

 



冒頭の武器庫での強奪シーンに驚き、同時に2カ所を襲うという銀行強盗計画に驚き、実話をもとにしたストーリーだと気付いて驚き、訳者あとがきで驚いた。ネタバレ扱いになっているようなのでここでも書かないが、う~ん、そうだったのか。

父から息子への、暴力の連鎖。父を憎みながらも父にとらわれた兄弟たちの「血の悲劇」。物語は過去と現在を行ったり来たりしつつ、思いもかけないクライマックスへ突き進む。しかも繰り返すが、このとんでもない連続銀行強盗事件、実際にスウェーデンで起きた事件がモデルになっているというのである。いやはや、なんともすさまじく、そして哀しい事件であることか。

重厚だがスピード感あふれる、とんでもないクライム・ノヴェル。「このミス」で一位になったというが、深く納得。余計な解説は一切不要の、最高級のピカレスク・ロマンである。