【2169冊目】橋爪大三郎・大澤真幸ほか『社会学講義』
社会学のイロハを、サブジャンルごとにまとめた概説書。「社会学概論」「理論社会学」「都市社会学」「文化社会学」「家族社会学」「社会調査論」の6章建てになっている。
コンパクトな分量ながら、それぞれのジャンルごとの「問題意識」が浮上するように書かれているので、ざっと読めばだいたいの論点や考え方がつかめるようになっている。特に冒頭の「社会学概論」は、短いながらよくまとまっており、社会学のエッセンスを濃縮させたようなくだりになっている。
「社会学は(略)でき上がった学問というよりも、「ものの見方」とでも言うべきものである」
橋爪大三郎のこのフレーズに、本書は尽きている。そもそも社会学が扱うようなテーマに、「答え」などあろうはずがない。あるのは「見方」であって、複雑に入り組んだ社会からどのようにして「問い」を浮かび上がらせるか、ということなのだと思う。ではどんな「見方」が本書では披露されているのか、という点については、以下の引用をお読みください。
「結局、都市とは「社会が社会であること」が浮上してくる場所なのだということです」(都市社会学、若林幹夫)
「近代は、祭りを排除したのではなく、むしろそれを近代社会の一部として取り込み、再編成してきたのです」(文化社会学、吉見俊哉)
「現代の日本で起きている家族の個人化とは、喩えるならば、品揃えがあまりにも極端に少ない店で、お気に入りの服を選べと強制されているようなものだ」(家族社会学、野田潤)
「社会学の重要な使命のひとつは、複雑かつ「わい雑」な人々の生活をそのまま丸ごととらえることにあると思っています」(社会調査論、佐藤郁哉)