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自治体職員の読書ノート

仕事は福祉系。読書は雑食性。業務連絡はnsa59871atmarkexcite.co.jpへどうぞ。

【2145冊目】中村明『語感トレーニング』

 

語感トレーニング――日本語のセンスをみがく55題 (岩波新書)

語感トレーニング――日本語のセンスをみがく55題 (岩波新書)

 

 

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

では、まずはこの本からいきましょう。新年早々、なんと「練習問題付き」である。大野晋『日本語練習帳』を思い出す。


意味は通るんだけど、なんとなく違和感がある……そんな文章は、選ばれているコトバの「語感」がおかしいことが多い。本書はこの「語感」に注目した一冊だ。

もっとも、「意味」と「語感」はまったくの別モノではない。著者はこれを、コトバの「中心的意味」「周辺的意味」と呼んでいる。どんなコトバも、「何を意味するか」という中核的な情報のまわりに、「どんな感じを与えるか」という心理的で感覚的な情報を、ヴェールのようにふわりとまとっているものなのだ。

例えば「学業を(  )であきらめ、就職することにした」という場合の(  )に入るのは「途中」か「中途」か。「この(   )からラブシーンを見せつけられちゃ、よけい暑くなるね」の(   )には「昼間」「真っ昼間」「昼日中」のどれが入るか。「彼女は(  )が強いから、こんな悲惨な映画には耐えられないだろう」という時の(  )には「感性」「感覚」「感受性」のどれがふさわしいか……。

微妙な差といえば、微妙な差なのだ。だが、そのわずかなニュアンスの違いが決定的な違いを生み出すのが、コトバというものなのである。もっとも本書、例文がいささか古めかしいことは否めない。語感というのは時代によっても変わってくるものだから、これはちょっと残念。もうちょっと若手の文章達人が、こういう本を書いてくれるとよいと思うのだが。