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自治体職員の読書ノート

仕事は福祉系。読書は雑食性。業務連絡はnsa59871atmarkexcite.co.jpへどうぞ。

【2132冊目】石井光太『「鬼畜」の家』

 

「鬼畜」の家:わが子を殺す親たち

「鬼畜」の家:わが子を殺す親たち

 

 
厚木市の幼児餓死事件。下田市の連続嬰児殺し事件。足立区の「ウサギ用ケージ」監禁餓死事件。世界の貧困地帯をルポルタージュしてきた石井光太が、悲惨な結末を迎えた3つの事件を掘り下げた一冊。

先日読んだ『誕生日を知らない女の子』が被害者側の「その後」を追った本であるのに対し、こちらは加害者側を、その成育歴にまで遡った本である。どちらにも共通するのは、そこはかとない無力感であり、やるせなさだ。子どもに無関心な親。子どもを搾取の対象としか考えていない親。繰り返される暴力の中で「困ったことが合ったらやりすごす」「対処できないことは見ないことにする」行動パターンを身につけた子ども。そんな子どもたちが妊娠し、親になると、どうなるか。壊れた親が、子どもを壊す。悲劇と地獄の無限ループである。

だがそれでも、彼らは鬼でもなければモンスターでもない。彼らもまた人間であり、彼らのしたことも、人間の営為のひとつなのだ。彼らの所業をみて、非人間的だと非難するのはたやすい。だが、それでもなお、彼らを「人間」として見つめつづけることが、同じような事件を防ぐほとんど唯一の方法なのだと考えたい。著者がタイトルの「鬼畜」をカギカッコでくくっているのは、そういう意味なのではないかと思うのである。