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自治体職員の読書ノート

仕事は福祉系。読書は雑食性。業務連絡はnsa59871atmarkexcite.co.jpへどうぞ。

【2059冊目】窪美澄『よるのふくらみ』

 

よるのふくらみ

よるのふくらみ

 

 
婚約中の圭祐と一緒に住んでいるが、セックスレス状態なのに悩むみひろ。以前から気になっていたみひろを兄の圭祐に「とられて」しまった祐太は、仕事で出会ったバツイチ子持ちの里沙に惹かれていく……

微妙な気持ちの行き違い、そしてカラダの行き違いの複雑な重なり合いが、切々と、しかし淡々と描かれる。やわらかい文章だが、時々はっとするような表現があって、それがなんともいえないアクセントになっている。セクシュアルな表現に、その人の切実さが裏打ちされているのも好感度大。

個人的には圭祐になかなか共感できなかったのだが、最後の方で風俗嬢のミミ(京子)に出会って自分を出せるようになったあたりで、なんだかホッとした。弟やみひろの前では自分を出せず、この人なりにいろいろ苦しんでいたんだなあ、と。現実にはなかなか、男女がこうやって「収まるべきところに収まる」のは難しいと思うのだけれど、だからこそこういう小説の世界では、収まるべきところに収まるところを見てみたいのだ。

いや、小説というより恋愛ドラマか。登場人物の人数も全体の長さも含めて、そういえばこの小説、いかにも1クール分のドラマの台本みたい。夜ちょっと遅めの時間に始まるドラマで、いかにも原作に選ばれそうだ。テーマ的には深夜時間帯だろうが。