自治体職員の読書ノート

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【1946冊目】安彦良和『ナムジ』

 

 

機動戦士ガンダム』のキャラクターデザインと作画監督を務めた「伝説のアニメーター」安彦良和が、マンガに転向した時の第一作。第19回日本漫画家協会賞優秀賞をこの作品で受賞している。

舞台はなんと古代日本。「古事記」「日本書紀」の、つまりは日本神話の世界である。著者はそこに描かれてきた神々の物語を人間に引き寄せ、壮大な歴史ドラマに仕立て上げている。

主人公のナムジ(オオクニヌシ)は、出雲の海岸で拾われた孤児として育ち、スサノオの娘スセリを妻として、徐々にのし上がっていく。ところが、出兵した先の邪馬台国で女王ヒミコに捉えられ……

神話という観点から考えれば、そもそもヒミコがここに出てくるのが妙である。しかもこのヒミコには、明らかにアマテラスが重ねあわされている。古代史と神話が虚々実々で絡まり合う中、著者は巧みに神話のエピソードを織り込みながら、大胆不敵に骨太のストーリーを組み上げていく。

古事記」のキャラクターが、文字通り「活きて」躍動しているのが、読んでいてなんとも楽しい。もちろん、著者独自の解釈やデフォルメも相当入っているので、これが神話の内容だと思われてしまっても困るのだが、興味をもつための入口としては絶好であろう。少なくとも、日本神話を全然知らないよりはずっといい。続編もあるらしく、私は『蚤の王』が気になった。

 

 

蚤の王―野見宿禰 (中公文庫―コミック版)

蚤の王―野見宿禰 (中公文庫―コミック版)