自治体職員の読書ノート

仕事は福祉系。読書は雑食性。業務連絡はnsa59871atmarkexcite.co.jpへどうぞ。

【1915冊目】『日本文学100年の名作第10巻 バタフライ和文タイプ事務所』

 

 

 

「日本文学100年の名作」第10巻。2004年から2013年の間に書かれた短編10編が収められている。よくぞここまで、と思えるほど、それぞれの作家の特徴を掴んだ短編が選ばれている。

 

 それはたとえば、小川洋子の静寂(「バタフライ和文タイプ事務所」)であり、桐野夏生の残酷(「アンボス・ムンドス」)であり、吉田修一の陰惨(「風来温泉」)であり、伊集院静の追憶(「朝顔」)であり、恩田陸の奇想(「かたつむり注意報」)であり、三浦しをんの子供の眼(「冬の一等星」)であり、角田光代の観察眼(「くまちゃん」)であり、森見登美彦の異界(「宵山姉妹」)であり、木内昇の痛み(「てのひら」)であり、道尾秀介の謎かけ(「春の蝶」)であり、桜木紫乃のわびしさ(「海へ」)であり、高木のぶ子のエロス(「トモスイ」)であり、山白朝子の悪夢(「〆」)であり、辻村深月のほろ苦さ(「仁志野町の泥棒」)であり、伊坂幸太郎のユーモア(「ルックスライク」)であり、絲山秋子の不思議(「神と増田喜十郎」)である。

 

とりわけ女性陣の作品に多く惹かれた。小川洋子は不変の小川洋子ワールド全開だし、角田光代はやっぱり心理描写が怖いほど鋭いし、辻村深月は少女の視点で世の中を描くのが本当にうまい。木内昇と絲山秋子は今回はじめて読んだが、これは今後も読み続けたい作家になりそうだ。

 

セレクションが本当にすばらしい。全10巻、すべて読みたいアンソロジー集である。