【1891冊目】島田荘司『ネジ式ザゼツキー』
記憶障害の男が書いた奇妙キテレツな物語「タンジール蜜柑共和国への帰還」。空を飛ぶ美女、巨大な木の上の家、そしてネジのように外れる首……。異様極まりないイメージの奔流に隠された真実が明かされるとき、驚愕の世界が目の前に展開する。
驚くべきミステリーである。作中物語の豊饒さ、ネジを首に埋め込まれた死体の異様さ、なにをとっても現実味を欠いた世界観が、すべて現実の出来事としてロジカルに着地する見事さは、さすがの腕前。島田荘司の小説は久しぶりに読んだが、面白かった。今さらの感もあるが、少し追いかけてみたいと思った。