自治体職員の読書ノート

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【1751冊目】中山圭子(文)・阿部真由美(絵)『和菓子のほん』

和菓子のほん (たくさんのふしぎ傑作集)

和菓子のほん (たくさんのふしぎ傑作集)

「おいしい10冊」3冊目。

絵本である。子どもにも読めるよう、ふりがなを振ったり、語りかけるようなやさしい言葉づかいで書かれているが、テーマがテーマだけに、なかなか子どもにはとっつきにくいかもしれない。むしろオトナが読んで、その美しさを堪能するべし。

まずは春の和菓子、夏の和菓子、秋の和菓子、冬の和菓子が、それぞれ見開きで描かれているが、そのビジュアルの美しさ、かわいらしさに息を呑む。さらに「和菓子ごよみ」では、1月から12月まで、季節に合わせた和菓子がずらりと並ぶ。「松の雪」(1月)に「蝶の夢」(3月)、「菊のつゆ」(9月)に「初霜」(11月)と、ネーミングだけでどんなお菓子か気になる。「お菓子のおいしさと日本語の美しさがひとつになっているなんて、すばらしいですね」という一文があるが、まったくそのとおり。

考えてみれば、和菓子はまさに「日本そのもの」を凝縮したようなお菓子である。季節感を活かし、風流で風情があって、巧みな「見立て」があって、しかもその絶妙の感覚が小さく縮められている。手をつけるのがもったいないほど美しいのに、過剰なデコレーションや気取りがないのも良い。あくまで和菓子は、客の前にさらりとさりげなく、ちんまりとつつましく提供されるのだ。

その「見立て」の妙から、和菓子と器の関係、さらには和菓子がつくられる過程までが触れられているのも、この絵本のいいところ。食べて味わう「和」の、技術と感覚のエッセンスが詰まった絶品絵本である。