自治体職員の読書ノート

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【1393冊目】浅田政志・共同通信社『家族新聞』

家族新聞

家族新聞

変わりつつある家族の「いま」を、写真と文章で切り取る一冊。

四世帯同居もあれば、別々に暮らすカップルもいる。老人ホームもあれば、コレクティブハウスもある。ダイニングでバレエを踊る家族があれば、休みのたびにキャンプに行く家族もある。

極端に変わった家族を、興味本位で取り上げているわけではない。登場するのはどれも、普通の家族……でも、そもそも「普通の家族」って、ナニ? ここに出てくる「普通だけど、ちょっと変わった」家族を見ていると、そんな疑問が浮かんでくる。家族にとっての「ふつう」って、案外、幅が広いものなのかもしれない。だいたい、かりに「ふつう」からちょっと外れていても、家族が笑顔でいられるなら、それでいいじゃないか。パラパラめくっているうちに、そんな気がしてくる一冊だ。

それほどに、ここに出てくる家族はみんな、実に自然な、いい顔で笑っている。もちろんその裏側には、本書の「カメラマン」である浅田政志氏の力があるのだろう。浅田氏は、知る人ぞ知る家族コスプレ写真集『浅田家』を世に出した写真家なのだが、さすがに、家族を家族として切り取り、フィルムに収める手腕はものすごい。集合写真はもとより、家族のうちたった一人を写したり、あるいは誰もいない部屋を写しても、そこには、そこの家族がかもしだす空気が漂っている。

文章と文章の間には、いろんな家屋を外側から写した写真がたくさん挿入されている。一戸建てもあればマンションもあり、都会もあれば山奥もある。その扉の一つ一つの奥に、それぞれの顔をした家族がある。そんなことを考えていると、なんだか肩の力がふっと抜けてくる。

家族は、トラブルを抱えることもある。子供のいじめ、親の介護。浮気に離婚。病気に死。どんな家族も、いろんな試練を乗り越えてきている。そんな試練を経た家族の笑顔は、死闘をくぐり抜けた戦友のようでもある。

夫婦もそうだが、家族は最初から家族なのではない。時間をかけて、努力を積み重ねて、夫婦に、家族になっていくのだ。そんな当たり前のことを思い出させてくれたこの本に、感謝したい。自分の「家族」を、もう一度見つめなおしたくなった。

浅田家