自治体職員の読書ノート

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【1122冊目】田中勝・寄本勝美編『ごみハンドブック』

ごみハンドブック

ごみハンドブック

ふだん「見えないことにしている」ものって、けっこう多い。

その中には、今回の大地震で「見えてきてしまった」ものもある。日本が「地震列島」であるという事実もそうだし、原発の危険性にしてもそうだ。ちなみに今気になるのは、東北の人々が置かれている現状を、多くの人々が次第に「見えないことに」しつつあるんじゃないか、ということ。復興どころかまだまだ復旧すらままならない地域もあるというのに、テレビも新聞も、そして我々自身も、うっすらと「目をそらしつつある」ような気がしてならない。

脱線した。「見えないことにしている」ものの話だった。ええと、言いたかったのは、本書で扱われている「ごみ」についてもまた、多くの人が見て見ぬふりをしているテーマではないか、ということだったのだ。ゴミ箱に放り込んだら、あるいは集積所に出したら、その後にそのごみがどうなるか、意識している人はほとんどいないのではないか。ペットボトルや缶などの分別はずいぶん進んだが、これだって「その後」について知っている人は少ない。

本書は、そんな「ごみのその後」についてコンパクトにまとめた一冊。とはいっても内容はやや細かめで、一般向けというより自治体の廃棄物担当者や事業者用といった感じだ。今回は通読したのだが、正直な印象としては、あまり通読には向いていない。約270ページのうち系統的な説明は60ページ程度で、残りは単発のQ&A形式になっているので、分からないことを調べるという辞書的な使い方のほうがよさそうだ。

とはいえ、廃棄物処理の一端を担っているのが自治体である以上、その職員として「全然知りませんでした」というわけにはいかない。その意味で、細かい技術的な知識はともかく、廃棄物行政のキホンを網羅的に知る上ではなかなか使える一冊だと思う。難を言えば、いろんな人が分担して書いているのだが、中に文章がやや読みにくいものが多いのと、Q&Aで知識が分断されているので、せめてクロスレファランスをもうちょっと充実してほしい。とはいえ、将来もし廃棄物関係の担当部署に異動したら、本書は最初に買い求めて机の上に置いておく一冊になりそうだ。