自治体職員の読書ノート

仕事は福祉系。読書は雑食性。業務連絡はnsa59871atmarkexcite.co.jpへどうぞ。

【1062冊目】鈴木庸夫監修・山本博史著『行政手法ガイドブック』

行政手法ガイドブック―政策法務のツールを学ぼう (自治体法務サポート ブックレット・シリーズ)

行政手法ガイドブック―政策法務のツールを学ぼう (自治体法務サポート ブックレット・シリーズ)

主題があれば、方法がある。目的があれば、手段がある。

とかく注目されがちなのは「主題」「目的」のほうであるが、本書はあえてそこを「方法」「手段」の部分に特化した。本書は、行政手法を「公共的に解決することが求められる課題(行政課題)を処理するための、現実的で実用性のある手だて(政策法務ツール)である」と定義し、類型化、個々の特徴について概説する一冊。

もともと本書は、著者が千葉県の政策法務研修で講師を務めた際のレジュメがもとになっているらしい。独習者にも配慮されたつくりになっているとのことだが、内容を見ると箇条書きが多く、文脈を読み取るというより項目を列挙しているカタチになっており、通読してスーッと頭に入る、という類の本ではないように思われる。やはり本書の本領は、研修のテキストとして、講師の説明とともに用いられるところにあるのではなかろうか。一人で読むなら、頭の中で研修の講義をシミュレートしながら内容を追っていくのも一手かもしれない。

そしてもうひとつ、本書の使い方として考えられるのは、座右において辞書のごとく「引く」というものだ。なにしろ、本書は「何かをやりたい」ときに取りうる行政手法をほとんど網羅し、それぞれの長所と短所、さらには組み合わせ方のパターンまでを懇切丁寧かつコンパクトに(豊富な条例の「見本」つきで)説明してくれているのだ。箇条書きのスタイルも、問題点の整理やメリット・デメリットの比較という面では使いやすい。

こうしてみると、研修用、実務用問わず、「ツール」としての実用性はきわめて高いといえる。また、独習用としてはやや読みにくいと書いたが、それでもとにかく最初に一度は通読しておくことをオススメしたい。自分の「選択肢」の全体像が見えないと、何を選んだらよいかなんて分かりっこないのだから。

ちなみに、個人的に面白かったのは第4章「条例立案のプロセスとスキル」。原課担当者と法務担当者の一問一答形式で条例立案の手順や注意点を網羅しているのだが、なるほど、こういうふうに手順を踏んでいけばいいのか、と目を開かされた。