自治体職員の読書ノート

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【1012・1013冊目】手嶋龍一『ライオンと蜘蛛の巣』『葡萄酒か、さもなくば銃弾を』

ライオンと蜘蛛の巣

ライオンと蜘蛛の巣

葡萄酒か、さもなくば銃弾を

葡萄酒か、さもなくば銃弾を

 鎖読。少し前に読んだ『スギハラ・ダラー』に続き、今回は同じ著者のノンフィクション2冊。どちらも著者の踏んできたインテリジェンスの現場から、その内幕を「チラ見」させてくれる。なお『ライオンと蜘蛛の巣』とは、「インテリジェンスのかぼそい糸のネットワークは百獣の王をも捕らえる」という意味らしい。ちなみに同書はその後改稿・文庫化され、タイトルも『インテリジェンスの賢者たち』となっている。う〜ん、タイトルは単行本のほうがいいやね。

 誰もが名前を知っている政治家から外交現場の黒子として活躍する無名の人物まで、登場する名前は実に多彩。共通点は、国際政治の最前線に身を置き、実際に外交を動かしてきたこと。日本人でも、林貞行、谷内正太郎、斉藤邦彦といった人々が登場。日本の現代外交の水準を知る上でも興味深い。

 それにしても、本書に描かれる外交という現場が、いかに重層的で、したたかで、繊細で、熾烈な人間同士のドラマであることか。そして、そこに関わるためには、いかに多くの「目に見えない言語」を読み解いていかなければならないことか。われわれの眼に見えている「情報」というもの、特にマスメディアが流す情報が、いかに「氷山の一角」であり、本質を見誤ったいい加減なものであることか。世界の歯車が、そういったものからどれほど隔たったところで動いていることか。そのことが心底よくわかる二冊であった。日本の外交の巧拙など、こういう本を読んでしまうと生半可では語れなくなる。