自治体職員の読書ノート

自治体職員です。仕事の関係上、福祉系が多めです。読書は全方位がモットー。

【1002冊目】松下啓一『図解地方自治はやわかり』

図解 地方自治はやわかり

図解 地方自治はやわかり

パンパカパーン。
お久しぶりです。「自治体職員の読書ノート」を再開します。

実は、9月からつい最近まで、ちょっと厄介なミッションに首を突っ込んでいたのですが、それがそろそろ手を離れそうになってきたので、久方ぶりに戻ってまいりました。ました。ちなみにそのミッションでは、今まで読まなかったような本にいろいろ触れることができました。その影響も、そのうちコチラに及んでくることでしょう。

「読書ノート」のスタイルについては、当面、1冊〜数冊の本の感想を綴っていくというやり方を踏襲するつもりです。うまくいくかどうかはわかりませんが、その中でなるべく自分の選書〜読書のパターンを意識して、それを混ぜ込むような形にしていきたいと思っています。ざっと4つくらいの「読み方のライン」が、この読書ノートでも交錯していくことになるでしょう。

では、さっそく本題に入ることにしましょうか。再開第1冊目は、松下啓一『図解地方自治はやわかり』。読み方のパターンとしては、う〜ん、名づけるなら「職読」ですかね。仕事で読む本、というヤツです。こう言っちゃ怒られるかもしれませんが、楽しみのために手に取るというよりは、やや義務的に、ノルマのように読む感じ。でも、こういう読み方をする本が実は読書全体のペースメーカーになっているんですよね。入門書系の本とお見受けしたので、「自分の知らなかった部分」「おやっと思った部分」を赤ペンでマーキングして、その部分はじっくり、それ以外の場所はややスピードを上げて読みました。

内容についてですが、著者が協働やNPO論のご専門であるだけに、協働、市民、地域コミュニティといったテーマが最初のほうからばんばん出てくる、地方自治の入門書としてはややユニークなつくりになっています(「ソーシャル・キャピタル」まで出てくるのにはびっくりしました)。行政機構や地方自治法、国と地方の関係などの基本的な部分に混ざって、自治基本条例や政策法務といったテーマも当たり前のように登場する、バランスとしてはやや「攻め」の方向性の強い入門書といえるでしょう。

そんなことを言うと、いやいや、これくらいのことはいまや自治体職員の常識だぞ、と言われそうですが、はいはい、おっしゃるとおり。むしろこれまでの入門書のほうが、時代に追いついていないと言うべきなのでしょうね。とはいえ、世の中の自治体の大半にしたところで、本書の期待する自治体のレベルには「追いついていない」のが悲しい現実。「ふつうの」自治体に就職される予定の方がいきなりこの本を読み、それから自分の職場に入ったら、「理想と現実」のあまりの落差にガクゼンとするかもしれません。

スタイルは、見開き2ページごとにひとつのテーマを解説するというもの。図表が必ず入っているので、実質1ページ〜1ページ半くらいしか解説スペースがないのですが、その解説が実にコンパクトかつ的確。図表も(やや細かめなものもありますが)総じてなかなか分かりやすく、過不足がありません。「フツーの自治体」で「とんがった新人職員」になるために(…はちょっと言い過ぎかもしれませんが、自治体業務の「最前線」と「本質」を知るために)、ぜひ4月入庁予定の方に読んでいただきたい一冊です。