自治体職員の読書ノート

自治体職員です。仕事の関係上、福祉系が多めです。読書は全方位がモットー。

【992冊目】平嶋彰英編『財務管理・資金管理』

財務管理・資金管理 (シリーズ 地方税財政の構造改革と運営)

財務管理・資金管理 (シリーズ 地方税財政の構造改革と運営)

契約や資金運用、地方債など、財務関係の「実務」に関する本。

予算と決算の「あいだ」の、財務管理の「実」の部分について整理しておきたくて読んだ。本書は、知識としてはそれなりに網羅されており、整理もされている。まあ、良くも悪くも「教科書的」な一冊。執筆者が総務省の自治財政局系の方々なのでしょうがないのかもしれないが、国の官僚が書いた地方向けテキストにありがちな「上から目線」が鼻につく。

現場レベルで問題になりそうなテーマに限って「諸事情を勘案の上適切に処理すべきである」みたいな、いかにもの紋切り型表現でまとめられてしまっていて、確かにそれはそのとおりなのだろうが、それって「言っても言わなくても同じ」ことではないだろうか。「お説ごもっとも。それで?」と言いたくなる。知識として俯瞰するには良いが、それ以上でもそれ以下でもない一冊。もちろん、本書はそうした「毒にも薬にもならない」レベルを目指して書かれたと思われるが、その狙いはみごとに達成されている。