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自治体職員の読書ノート

仕事は福祉系。読書は雑食性。業務連絡はnsa59871atmarkexcite.co.jpへどうぞ。

【981冊目】小川仁志『市役所の小川さん、哲学者になる 転身力』

市役所の小川さん、哲学者になる 転身力

市役所の小川さん、哲学者になる 転身力

そういえば、大学生の頃は、学者になりたいと思っていた。

したがって、漠然と大学院に進むことを考えており、ちょこちょことそのための勉強もしていたのだが、いろいろと浮世の事情があって別の道を進むことになり、その後も後で書くように紆余曲折あって、今の自治体職員という職に就いたのだった。まあ今考えてみれば、成り行き任せというか、成り行きを押し返すくらいの意志の力が欠けていたのかもしれない。その点、強い意志で自らの道を切り開いてきた本書の著者の「小川さん」に見習うべき点は多い。

とはいえ、履歴だけをみると、私自身と著者の辿ってきたコースはびっくりするほど似ている。卒業していったんは別の職に就き(著者の場合は商社。私の場合は……ヒミツ)、これから先の人生を思って辞職し、フリーターになり(著者は司法試験に挑戦した結果のフリーター。私もフリーター時代はあったが、司法試験には挑戦しなかった。だが実は、公務員になってからこっそり勉強していたことがある)、自分の将来に対する危機感から公務員試験を受け、地方自治体に職を得る。もちろん節目節目のモティベーションのあり方や、個々の職歴の長短などに違いはあるが、まあ「見た目」だけを見れば、かなりの部分はシンクロしているように思う。

ただ大きく違うのは、自治体職員になってから。著者は研究者になるという明確な目的をもって、仕事をしつつ社会人大学院に通い、次のステップをしっかりと見据えて前進した。一方私はといえば、さっき書いた司法試験も含めて、いろいろ中途半端に手を出しては挫折し、学者という存在に漠然とした憧れをもちつつも、「深く狭く」の研究の世界よりも、いつしか浅く広くの読書の世界のほうに、面白さを感じるようになってしまった。

今のままでよいのだろうかという漠然とした危機感をもっていながら、それなりに充実し、安定している公務員の世界に安住し、次のステップ(があるのかどうかわからないが)を明確化して突き進むだけのエネルギーもモティベーションも、さてどこへいったのやら。そんな私にとって、本書は身につまされる記述の連続だった。そうだった。そういえば、以前は「学者になりたい」なんて思ってたんだよなあ……(遠い目)。

なんだか全然紹介になっていないが、本の内容を自分に引き寄せすぎると、こういうことになる。これほど身につまされた本は久しぶりだった。