自治体職員の読書ノート

自治体職員です。仕事の関係上、福祉系が多めです。読書は全方位がモットー。

【976冊目】木村俊昭『「できない」を「できる!」に変える』

「できない」を「できる!」に変える

「できない」を「できる!」に変える

こういう人がいるとは知らなかった。

テレビに何度も出ていたらしいが、たまたまどれも見る機会がなかった。丸の内の丸善で、本書が平積みになっていたのを目にしたのが初めて。「スーパー公務員」というフレーズはなんだかな、という感じだが、ぱらぱらめくってみると、かなり「熱い」本であることはわかった。熱い本は嫌いじゃない。時には理屈抜きで、背中を押してもらいたくなることもある。

著者は元小樽市職員。小樽市の地域産業活性化に携わる中で抜群の企画力と行動力を発揮し、内閣府に引っ張られて地域再生政策を担当(現在は農林水産省)。本書を読んで驚かされるのは、とにかく「アタマ」と「カラダ」の使い惜しみをしない人なのだな、ということ。その芽はどうやら、市役所入庁当時からあったらしい。取り上げられているエピソードは、まあ役所なら似たり寄ったりの話はいろいろあるだろうが、やはりそれを息切れせず、一貫してやり続けるのはスゴイ。

そんな著者の原動力は「楽しさ」であるようだ。楽しい仕事をしたい、というのは誰しも思うことだろうが、この人は今やっている仕事を、自分はもとより関係する人にとって「楽しい」ものにしようとする。そのためには、人の心を動かし、「満たされなかった思いが成就すること」。その具体的な処方箋として、著者は次の4つを挙げる。

1 「経済的に安定したい」を実現する
2 「仲間と共感したい」を実現する
3 「正しく評価されたい」を実現する
4 「理想に近づきたい」を実現する

一見なんということもない4項目だが、実はこれこそが「要諦」。その理由を綴った部分こそが、本書の「核」になっている。毎日の仕事に追われている人(私も含む)、新人の頃の志をどこかに置き忘れてきた人(これも私だ)、何かをなしとげたいが何をしてよいのかわからない人(私のこと?)に、直球で「効く」一冊だ。